不景気な保険会社にとって“一石三鳥”な「転換」
では、生命保険会社は、「新しい保険にしましょう」と言って、なぜ必死になって「転換」を勧めてくるのだろうか?
その理由を、一番わかりやすいたとえ話で説明してみよう。
あなたがある銀行に、年利6パーセントの定期預金をしていたとしよう。
ある日、その銀行の行員が来て、「今度新しい有利な定期預金ができたので、今の預金を取り替えませんか」と言って、その新しい預金の利率が、1.0パーセントであることは説明されないまま、低い金利の預金に乗り換えさせられたら、あなたはどう思うだろうか?
生命保険の「下取り(転換)」とは、この話と全く変わらないスタイルなのだ。
ちなみに、今の時点からさかのぼって30年以内に保険契約を「転換」(実際には「下取り」とか「コンバージョン」などという言葉を使っている)させられたケースで、契約を取り替えさせられた時に、「予定利率が低い保険に取り替えられる」という趣旨の説明を聞いた契約者が、いただろうか。
あなたの場合は、どうだっただろうか?
また、保険の「転換」では、現在加入している契約の保険を、形の上では解約して、その解約返戻金を次の新しい契約の保険料の一部に充当する、という形をとる。その時の解約返戻金は、本来は契約者に支払われるべきお金だが、保険会社はそのお金を契約者の懐には1円も戻さず、次の保険の保険料として取り込んでしまうのだ。
それだけではない。「転換」にはもっと大きな問題がある。
それは以下の[図表1]を見ていただければたちどころにわかる。きっと怒り心頭に発するだろう。
橋本内閣が〝総量規制〟をしてバブルがはじけるまでの間、日本はかつてない好景気に沸き、いま思えば日本中が狂乱状態だった。金利は右肩上がりで上昇し、株も土地も「天井がないんじゃないか」と浮かれていた。
生命保険の業界も例外ではなく、集めた保険料は高い利率で運用できるとして、予定利率も最高は6.25パーセントという、今では想像もできない高利率で保険を売りまくった。予定利率が高ければ保険料は逆に低くなる。
「栄枯盛衰は世の習い」ではないが、バブルがはじけると、高利率の契約をたくさん抱えた大会社(会社の規模が大きいほど、高利率の契約をたくさん抱えている)は、景気と経済の低迷で約束した利率が稼げず、不足分は自分の懐(と言っても、それは元々契約者に返すべきお金なのだが……)で補てんしなければならなくなった。これを「逆ザヤ」という。
「逆ザヤ」を解消する有効な方法としては、
1.高利率時代の契約を止めさせてしまう(解約させ契約をなくしてしまう)か、
2.低い利率の現状に合った契約に取り替えさせるか
すればよい。その2.取り替えさせる方式が「転換」なのだ。
1.契約を止めさせてしまうと、会社は「保有契約件数が減ってしまう」ので好ましくないが、2.転換させれば、「予定利率の低い保険にさせられる」し、「保有契約件数には影響ない」し、何よりも、「継続して高くなった保険料を徴収することができる」。
つまり、「転換」は保険会社にとって一石三鳥となるのだ。
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