保険はいわば「オーダーメイド」のスーツ
「自分に合った保険に加入したい」
保険ショップにいらっしゃるお客様のほとんどが、こう思って来店されます。
もちろん、中には「面倒くさいから、適当に見繕ってよ」という方もいますが、そのような人はこの本を読むこともないでしょうから、ちょっと脇によけておきましょう。
「自分に合った保険」を選ぶためには、まず自分のことを知らなければなりません。
保険をスーツに例えてみましょう。オーダーメイドのスーツを作るときには、体の隅から隅まで、何カ所も採寸されます。面倒ですし時間もかかりますが、着丈や身幅がピッタリの、見事にフィットしたスーツができあがります。
もちろん、色、材質、ステッチの有無、ボタンなど、細かいところまで気配りがなされ、自分の好みに合ったスーツができあがってくるでしょう。
一方、既成服の場合は売り場に並べられているサイズの中から自分に合うものを選びます。ズボンの丈やジャケットの袖丈程度の直しはできますが、オーダーメイドほどのフィット感は得られないでしょう。
保険はいわば、オーダーメイドのスーツのような存在でなければなりません。それだけのお金と時間を費やしたとしても、自分にぴったりフィットした保険が、「自分に合った保険」と言えます。
「平均値」で作成したプランに満足してはだめ
問題は、既成服のスーツでもそれなりに満足感が得られるということです。保険でいう既製服というのは、一般論や平均値で作ったプランを指します。
既製服のスーツも、オーダーメイドのスーツほどではありませんが、8割方のフィット感は得られます。実際のスーツなら、見る人(プロ)が見ればオーダーメイドと既製服の違いは一目瞭然かもしれませんが、一般の人からすれば「どちらも同じスーツ」にしか見えません。
保険はスーツと違って目に見えるわけではありません。一般論や平均値で保険のプランを作ったとしても、目の前でパソコンやタブレット端末などでいろいろな数字を出され、自分の予算などの希望に沿ったプランを提案してもらえたら、何となく自分だけのプランを作ってもらったような気になります。だから、大抵の人は加入した保険に満足して帰ります。
そして、いざというときに「あれ、こんなはずではなかった」という結果になってしまうのです。
そんな人たちが加入していた保険は、オーダーメイド風に作られた既製服のスーツのようなものです。しかも通常、既製服はオーダーメイドよりかなり割安な値段で販売されています。したがって明確に既製服かオーダーかはチョッと細かく見ればわかりますし、買う側もそれを承知のうえで購入します。
ところが保険の場合、スーツとは違って商品自体が目には見えませんから、加入した段階ではそれがオーダーメイドなのか既製服なのかの区別がつきません。一般論で、また世間一般の相場で設計された既製服のスーツを、オーダーメイドのスーツと同じ金額で買ってしまうことになります。
しかも、毎月の保険料を合計してみればスーツなどとは比べものにならないお金を投入して、自分にフィットしていない保険に加入していることになるのです。
そして、そのことに気付くのは死亡して保険金を受け取ると思って安心していたら、死亡保険には加入していなかった」とか、「保険金は出たけれど、思っていたより金額が少なかった」などといったトラブルが起こるのは大体このパターンです。
せっかく加入していたはずの保険が、家族の将来を守るものになっていなかったというとても残念なケースですが、このようなケースは決して少なくないのも事実です。
そもそも、スーツでも、8割方しかフィットしないものをオーダーメイドの価格では買いません。せっかくオーダーメイドでスーツを作るのだったら、自分好みの、そしてぴったりと体にフィットしたものを作ります。
そのために全身をすみずみまで採寸し、何度も仮縫いを重ねて作り上げるのです。その手間と時間を含めて、高いお金を納得して払うのです。
だとしたら保険もスーツと同じように、それどころかスーツ以上に熱意を持ってプランニングするべきです。保険は、皆さんと皆さんの家族の未来を守るためのものなのですから。