(写真はイメージです/PIXTA)

相続税への対策は、生前に行うのが基本。急に相続が発生した場合、残された家族は高額な相続税を負担することになります。しかし特例などを駆使して、相続が発生してからでもできる相続対策があります。みていきましょう。

そもそも「相続税対策」とは

2015年の税制改正により、多くの方に相続税が課税されるようになりました。

 

相続税は、遺産に対して課されるものであり、原則として、金銭で納めなければなりません。そのため、不動産を多く所有する人が亡くなった場合は、納税するための金銭の工面に苦労することもあります。

 

相続税対策は、納税する相続税の金額をなるべく少なくする対策のことです。ほとんどの相続税対策は、被相続人の生前にしか行えませんが、相続発生後でもできるものもあります。

土地の評価額について

相続税申告の際、土地については評価金額を算出します。土地の評価金額が低くなれば、相続税を軽減することができます。

 

土地の相続税評価は、原則として、路線価を基準としますが、がけ地、無道路地、不整形地など、利用価値が低い土地に関しては、評価額の減額が認められています。

 

また、間口の割に奥行が長い土地(奥行長大)や間口が狭い土地(間口狭小)についても、同じく評価額の減額が認められています。

 

以上のように、減額要因をしっかりと税理士に検討してもらい、なるべく相続財産のうちの不動産の評価額が低くなるように算定してもらいましょう。

相続税の「各種特例」について

相続税には、不動産の評価金額以外にも各種特例が定められています。

 

配偶者の税額軽減の特例

被相続人の配偶者が、遺産分割や遺贈により実際に取得した相続財産の金額が、次のいずれかの場合は配偶者に相続税はかからないという制度です。

 

  1. 相続財産が1億6000万円まで
  2. 配偶者の法定相続分相当額

 

この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産をもとに計算されることになっています。

 

したがって、相続税の申告期限までに遺産分割が成立していない場合は、配偶者の税額軽減の特例を適用できず、法定相続分で申告をしていても納税をする必要があります。

 

ただし、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付したうえで、申告期限から3年以内に遺産分割が行われた場合には、税額軽減の対象になります。この場合、分割が行われた日の翌日から4ヵ月以内に「更正の請求」を行うことができます。

 

なお、相続等に関する訴えが提起されているなどやむを得ない事情があり、遺産分割協議がまとまらない、という場合もあるかと思います。その場合には、相続税の申告期限後3年を経過する日の翌日から2ヵ月を経過する日までに、税務署長の承認を受けたうえで、遺産分割ができるようになった日の翌日から4ヵ月以内に分割された場合には、税額軽減の対象になります。

 

(国税庁HP NO4158:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm参照)

 

小規模宅地の特例

国税庁のウェブサイトには、小規模宅地等の特例について、下記内容が記載されています。

 

個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(以下「被相続人等」といいます。)の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利をいいます。以下同じです。)のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分(以下「小規模宅地」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価格の計算上、減額することができる制度です。

 

なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等及び「個人事業者の事業用資産についての贈与税の納税猶予および免除」の適用を受ける特例事業相続人等に係る被相続人から相続又は遺贈により取得した特定事業用宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。

 

簡単に説明すると、小規模宅地の特例とは、亡くなった人が住んでいた土地、事業をしていた土地、貸していた土地について、一定の要件を満たす人が相続したときに相続税を減額できる、という特例です。

 

亡くなった人が住んでいた土地や事業をしていた土地は、相続人の生活基盤となる非常に重要な財産であり、そのすべての財産に相続税が満額でかかってしまうと、相続後の相続人の生活を脅かす可能性もあるため、そのような状況にならないようにするために、相続税を大幅に減額できる特例措置が設けられています。

 

ただし、小規模宅地の特例については、要件が非常に複雑になっており、この要件を満たさなければ相続税減額の対象にはなりません。まずは税理士に相談をして、特例が適用できるか否か検討してもらうようにしましょう。

 

(国税庁HP NO4124:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm参照)

 

 

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