2022年4月分景気動向指数(速報値) (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CI前月差+2.1で2ヵ月連続の上昇、一致CIは前月と比較して横這い

 

4月分一致CIの3ヵ月移動平均3ヵ月ぶり上昇、3ヵ月連続で「改善」の判断

 

 

 

●4月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+2.1と2ヵ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列が前月差プラス寄与度に、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新設住宅着工床面積の2系列が前月差マイナス寄与度になった。

 

●4月分の一致CIは前月差0.0と前月と比較して横這いになった。速報値からデータが利用可能な8系列では、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、有効求人倍率の4系列が前月差プラス寄与度に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、輸出数量指数の4系列が前月差マイナス寄与度になった。

 

●最近の一致CIを使った景気の基調判断をみると、21年1月分で「上方への局面変化」に上方修正され、2月分では判断が据え置かれた。3月分で景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に上方修正され、4月分~8月分と「改善」の判断は据え置きになっていたが、9月分では「足踏みを示している」に下方修正され、10月分~22年2月分速報値では「足踏みを示している」の判断が継続となった。しかし、生産・出荷関連データの年間補正などがあった2月分改定値では「改善」に戻るための、「3ヵ月以上連続して、3ヵ月後方移動平均が上昇、かつ当月の前月差の符号がプラス」という条件を満たした。前回3月分では「改善」の判断が継続となった。

 

●今回4月分でも「改善」の判断が継続となった。4月分の一致CIの前月差は横這いで、3ヵ月後方移動平均は前月差+0.23と3ヵ月ぶりの上昇になった。なお、1~3月分のデータに法人企業統計の営業利益が加わったため、3月分まで前月差若干のプラスだったものの2月分と3月分の3ヵ月後方移動平均がともに0.00に下方修正された。再び「足踏みを示している」に下方修正になるための「3ヵ月後方移動平均の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累積)が1標準偏差以上、かつ当月の前月差の符号がマイナス」という条件は満たさなかった。

 

●4月分の先行DIは61.1%と3ヵ月ぶりに景気判断の分岐点の50%を上回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、新規求人数、新設住宅着工床面積、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列がプラス符号に、マネーストック1系列が保合いに、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、消費者態度指数、東証株価指数の3系列がマイナス符号になった。

 

 

●4月分の一致DIは75.0%と3ヵ月ぶりに景気判断の分岐点の50%を上回った。速報値からデータが利用可能な8系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、有効求人倍率の6系列がプラス符号に、商業販売額指数・卸売業、輸出数量指数の2系列がマイナス符号になった。

 

●6月27日発表予定の4月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は6月15日である。また在庫率関連データが6月14日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。実質機械受注(製造業)の前月差寄与度がマイナスになり、先行CIは速報値の+2.1から下方修正になる可能性が大きいとみられる。先行DIは実質機械受注(製造業)の符号は微妙だが、仮にマイナス符号で加わり、残りの符号が不変だとすれば、速報値の61.1%から55.0%に下方修正されると予測する。

 

●4月分景気動向指数・改訂値で、一致CIに労働投入量指数が加わる。労働投入量指数は、雇用者数(非農林業)と総実労働時間指数(調査産業計)の2つの系列を掛け合わせて作られている。内訳をみると、雇用者数(非農林業)は労働力調査のデータで前月比+0.5%の増加であることが判明している。一方、毎月勤労統計・速報値の総実労働時間指数(調査産業計)は前月比+1.5%の増加である。また、4月分確報値は6月24日に発表されるため、4月の一致CI改定値では確報値が使われる。また、生産指数関連データは6月14日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データが同じく6月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。労働投入量指数の前月差寄与度が+0.25程度になるとみて、一致CIは速報値の0.0から+0.1程度に上方修正されると予測した。4月分の一致DIは速報値で75.0%だったが、新たに加わる労働投入量指数の符号はプラスになるとみられるので、他の採用系列の符号が変わらないとすると、改定値は77.8%に上方修正されるとみられる。

 

●5月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。消費者態度指数、日経商品指数の2系列が前月差プラス、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの2系列が前月差マイナスである。

 

●また、5月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列では、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの2系列がプラス符号に、消費者態度指数、東証株価指数の2系列がマイナス符号になることが判明している。5月分速報値段階の先行DIは22.2%以上77.8%以下になることが確定している。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年4月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

(2022年6月7日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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