前回は、自分が加入している「死亡保険」の内容を見直すべき理由を説明しました。今回は、3つの代表的な生命保険のなかで、死亡保険が最も重要といえる理由を見ていきます。

多様化する生命保険を全て把握することは難しいが…

生命保険は大きく分けて次の3つに分類できます。

 

①死亡保険

②医療保険・がん保険

③年金保険・貯蓄型保険

 

おおよその生命保険は、この3つのうちのどれかに該当します。保険会社ごとに個別の名前はいろいろとありますが、主契約の部分はこの3つのいずれかです。

 

主契約以外の部分で、特約と言われるものがあります。自動車に例えると、主契約が車体、特約はいわばオプション。車体の色や内装、ナビを付けるか、シートは皮革か布かなどの細かい条件を積み上げていくようなものです。

 

もともと、生命保険はその誕生の由来から死亡保険がベースでした。しかし、人々の自動車に対する要求が多様化し、さまざまなオプションが選べるようになったように、生命保険にも多くのニーズが発生し、医療保険やがん保険、年金保険や貯蓄型保険などが誕生し、さらに細分化されたニーズに応えるために細かなオプションが加わり、複雑化したように見えるだけなのです。

 

案外単純なものであるとはいえ、商品数は相当なものになりますから、各社の保険商品をすべて網羅し、調べるのは一般の人には困難です。自分では選べない、だから難しいと思い込んでしまうのも、ある意味では仕方のないことかもしれません。

いずれ訪れる「死」に備えられるのは死亡保険のみ

しかし、あくまでも生命保険の基本は①の死亡保険であると筆者は考えています。

 

私の会社のショップにも、多くのお客様が保険の相談に来店されますが、ほとんどの方が開口一番「医療保険を考えているのですが・・・」とおっしゃいます。たしかに、医療保険も生命保険の一部です。しかし、これは死亡保険ではないことを、皆さんは理解していらっしゃるでしょうか。

 

よく、テレビコマーシャルで「入院1日あたり5000円を給付」などと宣伝している医療保険ですが、これはあくまでもケガや病気で治療を受けたり、入院したりしたときに支払われる保障です。特約などで死亡保障を付けていなければ、例えば交通事故などで即死して治療や入院をしなかった場合は、一切死亡保険金が支払われません。

 

それなのに、お客様が開口一番に求めるのは医療保険です。私はこれがいささか不思議です。

 

「自分はまだ若いし、死なないから大丈夫」と言うお客様もいます。でも、人間は誰もが確実に死にます。それは明日かもしれないし、50年後かもしれません。しかし確実に死ぬときがやってきます。あまり力強く言うことではないかもしれませんが、こればかりは100パーセント断言できます。

 

一方、入院はするかどうかわかりません。私は現在45歳ですが、幸いにもこれまで一度も入院したことがありません。歳をとれば病気になって入院する可能性は高くなるかもしれませんが、とりあえず今のところは加入中の医療保険のお世話にはなっていません。

 

世の中には、高齢になっても入院とは無縁に過ごされている方もたくさんいますし、一度も入院されることなく天寿を全うされる方もいますが、45歳を迎える前に不幸にも亡くなってしまう方もたくさんいます。

 

それなのに、皆さんが心配するのは入院したときのことです。なぜか、死んだときのことを気にする人は少数派です。

 

皆さんはおそらく、「明日も必ず生きている」と思っているはずです。誰でも、嫌なことは考えたくない。それが人間です。自分が死んだときのことなど考えたくもない、それが本音でしょう。だから生きることを前提とした医療保険に目がいくのです。

 

もちろん、医療保険に加入することが無駄だと言っているわけではありません。しかし、いつかはわからないけれど100パーセント死ぬことだけはわかっているのですから、やはりまずはそのときに備えたほうがいいのではないかと考えます。

 

死亡保険の場合、保険金が給付されるときには残念ながら皆さんはこの世にいませんが、代わりにご家族は保険金を受け取ることができます。その保険金は、皆さんの代わりにご家族を守ってくれる存在です。

 

私は人にとって一番大切なのは「命」、つまり生きることであると考えます。そして生きるためには「お金」が必要です。2番目に大切なのは「お金」であると考えます。保険は、この「命(死亡保険)」と「お金(保険料)」を同時に扱います。前回「命の値段」というような話をしたのはそのためです。

本連載は、2015年6月26日刊行の書籍『死亡保険金は「命の値段」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

死亡保険金は「命の値段」

死亡保険金は「命の値段」

杉山 将樹

幻冬舎メディアコンサルティング

命とお金に関わる保険は、生きている限りほとんどの人にとって必要不可欠な金融商品ですが、近年、その種類や保障内容が多様化・複雑化しています。 加入者は要望に合わせて自由に保険を選べるようになったものの、その選び方…

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