年金を増やす方法は長く働くこと
――会社員なら誰でももらえるわけではないんですね。
長尾FP 多くの大企業ではこの制度が採用されており、基本的に掛け金は企業側が負担します。加入者はかなり多いです。
ただし、中小企業や零細企業は加入していないことが多いようです。会社の人事課などに聞いて、加入しているかどうか確かめてみてはどうでしょう。
企業年金には3つのタイプがあり、最も多くの人が加入しているのが「確定給付企業年金」です。昔は終身年金として、死ぬまでずっと受け取れることが多かったのですが、最近は5年、10年、15年といった有期で決まった金額が支給されるように変わってきました。
2つ目は「企業型確定拠出年金」。これはiDeCo(個人型確定拠出年金)と同じで、加入者が投資信託を選んで運用し、その実績に応じて年金として支給されます。ですから、実際にいくら受け取れるのかはわかりません。
企業年金には、ほかに「厚生年金基金」という仕組みもありますが、これは解体する方向で進んでいます。
――どうやら、わたしの会社には「企業年金」の制度はなさそう。ということは、友人のような年金の3階部分がなく、1、2階部分のお金だけで暮らしていかないといけないわけですね。大丈夫かなあ……。
■わたしの年金って、これ以上増やせないんですか?
――わたしの場合、もらえる年金は月額15万円、夫婦で26万円ほどという見込みでしたよね。これをもっと増やす手はないんですか?
長尾FP もちろん、年金は増やせますよ。増やす方法はいろいろあります。
――えっ、そうなんですか。ぜひ、教えてください!
長尾FP ひとつ目の方法はすごく簡単。長く働くことです。
あなたが受け取れる月額約15万円の年金は、60歳まで働いた場合のものです。厚生年金は長く働くほど、支給額が上がっていく仕組みになっています。
厚生年金に加入できる上限の70歳まで働いた場合、もしかしたら、月額20万円ほどに増えるかもしれません。
――えっ、そんなに増えるんですか? それなら、長く働くことを真面目に考えないといけませんね。
長尾FP もうひとつ、厚生年金を上げる方法は、頑張って働いて、給料をいまよりも高くすることです。収入に応じて納める保険料が上がり、年金としてもらえる額もアップする仕組みになっていますから。
――でも、定年のあとで再雇用されると、給料は半分ほどになるんですよ。もっと給料を上げるというのは、かなり大変なことです。
長尾FP 給料が半減すると、それまでと比べて納める保険料も減ってしまうので、年金が増えにくくなるのは確かです。
ですから、どうすれば60代になっても給料を下げないでいられるのか、さらにいえばもっと稼げる働き方ができるのか、50代のいまからよく考えて実践することをおすすめします。
そう簡単ではないかもしれませんが、スキルを一層磨くようにする、いまのうちに何か新しい資格を身に付ける、といった努力をすることが大切ですよ。
長尾 義弘
フィナンシャルプランナー
↓コチラも読まれています
ハーバード大学が運用で大成功!「オルタナティブ投資」は何が凄いのか
富裕層向け「J-ARC」新築RC造マンションが高い資産価値を維持する理由