【ビジネスの無情】保険金は支払えません…絶望の工場火災後、必死で出した収益が「足かせ」になったワケ

【ビジネスの無情】保険金は支払えません…絶望の工場火災後、必死で出した収益が「足かせ」になったワケ

主力工場の全焼により、設立以来の大ピンチに陥った衛生用品会社。従業員たちは苦境を乗り越えるべく、一丸となって復旧に努め、業務に奔走します。その結果、1ヵ月後の売上は火災前を大きく超えるまでに。従業員たちは手を取り合って喜びましたが、この頑張りがさらなる危機的状況を呼び込むことになったのです。

「1カ月で復旧しよう!」全従業員の頑張りが仇に…

迎えた元日、全社員が焼け跡に集まりました。

 

主力工場が全焼してしまったため、復旧には早くても3〜4カ月はかかるレベルの被害でした。

 

「全員が力を合わせ、1カ月で復旧しよう!」

 

社長である父の力強い言葉を社員の誰もが真剣な面持ちで受け止め、早速復旧作業に取りかかりました。新しい機械はすでに発注してあったものの、それらは即座に手元に届くわけではありません。新しい機械が間に合わないラインには古い機械の部品を交換するなどして対処したり、補修して使ったりと全社員で知恵を絞りながら一生懸命に復旧に取り組みました。

 

そうやって必死に頑張っていくうちに、2月の初めには操業を再開できる状態にこぎつけることができたのです。

 

消費者からは「早く品物を送ってほしい」との要望が次々と寄せられていたので私たちはその声に応えようと、機械をフル稼働して対応しました。その結果1月にはほとんどゼロに近かった売上が、2月には火災前を超えるほどになったのです。社員が一丸となって頑張った結果でした。

 

ところが、思わぬところに落とし穴が待ち構えていました。

 

会社はいざというときに備えて利益保険に加入していました。これをあてにして新しい機械を次々と購入していたのですが、2月に火災前を超える利益を出したことが仇となってこの保険の適用外となってしまったのです。利益保険というのは利益が出なかったときのための保険であって、利益が出ている以上保険金は支払えないというのです。

 

保険が下りなかったので、すでに購入してしまった機械の支払いのためには多額の借金をしなければなりませんでした。この負債が後々まで重くのしかかり、会社にとっての悲劇を呼ぶことになります。

 

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一品勝負 地方弱小メーカーのものづくり戦略

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梯 恒三

幻冬舎メディアコンサルティング

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