2022年1~3月期法人企業統計・設備投資などについて (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

設備投資(除くソフトウェア)前年同期比+5.0%、0.5ポイント増加率鈍化

 

実質GDP第2次速報値前期比▲0.3%程度に、設備投資が下方修正要因か

 

 

22年1~3月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+5.0%と、10~12月期の前年同期比+5.5%から0.5ポイント伸び率が鈍化したものの、4四半期連続の増加になった。10~12月期で前年同期比+7.5%の増加だった製造業は、1~3月期では同+5.9%の増加へと1.6ポイント鈍化した。非製造業は10~12月期で前年同期比+4.4%の増加だったが、1~3月期で同+4.6%の増加と0.2ポイント伸び率が改善した。

 

1~3月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は+0.3%と2四半期連続の増加になった。製造業は+1.7%と2四半期連続の増加になった。非製造業は▲0.3%と2四半期ぶりの減少になった。

 

なお、法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)の季節調整済み前期比は1~3月期+0.8%と2四半期連続の増加になった。製造業は+1.0%と2四半期連続の増加、非製造業は+0.8%と2四半期連続の増加になった。

 

法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)で1~3月期の全産業の前年同期比は+3.0%で10~12月期の+4.3%と比べ1.3ポイント伸び率が鈍化した。資本金別の内訳をみるとまちまちで、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は▲0.8%の減少と、10~12月期の▲6.8%の減少から6.0ポイント改善した。一方、資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+11.4%の増加と、10~12月期の+29.1%の増加から17.7ポイント鈍化した。また、資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は+6.1%と、10~12月期の前年同期比+12.8%からは増加率が6.7ポイント鈍化した。

 

供給サイドのデータに基づいて算出した1~3月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比は+4.1%と4四半期連続の増加になった。10~12月期は+2.7%の増加から1.4ポイントと改善した。一方、法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は10~12月期から1~3月期にかけ0.5ポイント鈍化した。両者の変化幅の乖離は1.9ポイントだ。

 

1~3月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、1~3月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+7.1%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+32.2%であると公表されているが、1~3月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は+29.0%となり、仮置き値より3.2ポイント小さい増加率になった。

 

1~3月期GDP第2次速報値の設備投資では、法人企業統計が下方修正要因になりそうだ。今回、断層補正の影響は大きくはないとみられる。また、ソフトウエア投資の部分は特定サービス産業動態統計3月分からみて下方修正要因になるとみた。総合的に判断し、第2次速報値の名目設備投資は前期比+0.8%程度と、第1次速報値の同+1.1%から下方修正され、第2次速報値の実質設備投資は前期比+0.2%程度と、第1次速報値の同+0.5%から下方修正されるとみた。

 

(民間在庫変動)

法人企業統計の仕掛品在庫をみると22年1~3月期は▲1兆6,327億円で21年1~3月期の▲2兆9,849億円から1兆3,521億円の増加となった。また、原材料・貯蔵品在庫は22年1~3月期は1兆1,443億円で21年1~3月期の2,363億円から9,079億円の増加となった。合わせて2兆2,600億円、前年同期に比べ増加した。

 

 

一方、22年1~3月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は▲19,411億円で21年1~3月期の▲22,714億円からは3,303億円の増加であった。22年1~3月期GDP第1次速報値ではGDPの第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.3%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目全てプラス寄与で、大きな方から流通在庫、製品在庫、仕掛品在庫、原材料在庫の順になっているということだ。

 

今回の法人企業統計からみると、GDP第2次速報値では名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度は仕掛品在庫、原材料在庫中心にやや増加するが、小数点第一位みると第1次速報値の+0.3%と同じ+0.3%程度になりそうだ。

 

(22年1~3月期GDP・第2次速報値予測)

6月8日に発表される22年1~3月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資、民間在庫変動などを中心に改定される。

 

22年1~3月期第2次速報値では、法人企業統計から判断し、実質設備投資は前期比+0.3%程度と、第1次速報値の同+0.5%から下方修正になると予測した。一方、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は僅かに上方修正されるものの第1次速報値の+0.2%と同程度にとどまるとみた。

 

また、公共工事出来高の前年比は1~2月分平均が▲14.7%だったが、1~3月期の前年同期比は▲14.8%と減少率が僅かに悪化した。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は第1次速報値と同じ▲3.6%程度になると予測する。

 

22年1~3月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比▲0.3%程度、前期比年率▲1.0%を予測する。第1次速報値の前期比▲0.2%、前期比年率▲1.0%から若干下方修正となろう。設備投資が下方修正要因になるとみた。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年1~3月期法人企業統計・設備投資などについて』を参照)。

 

(2022年6月1日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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