「1年度目を解いて決めた順序」を実践
2年度目は、1年度目を解いてから決めた順序で解きましょう。そうやって解いてみて「うまくいった!」ということであれば、次の3年度目もその解き方でいいのですが、逆に1年度目よりも難易度が大きく変わっていて「うまくいかなかった。逆効果だった…」ということもありえます。それも貴重な情報です。うまくいかなかったからといって、「順序を決めることに意味がない」なんて思わずに、教訓につなげていきましょう。1つ目の大問が難解で思いのほか苦戦した場合、最後に取っておいた問題が実は楽な問題だった、ということもよくあります。このような発見は、「最後の大問には、最低〇分残したほうがよさそうだ」という教訓になります。
適性検査は、基本的にどの学校も、大人でも「制限時間内に終わらせるのは厳しい」と感じる時間設定になっています。公立中高一貫校は、優秀な生徒を集めたいという思惑はあるものの、あくまでも公立の学校であって選抜試験をしてはいけないという縛りがあります。難易度を上げ過ぎると設立の主旨に反するので、その代わりに問題の量を増やしたり、記述の量を増やしたり、1問あたりにかかる時間が長くなるよう手数の多い問題を増やしたりといった時間的な負荷をかけてふるいにかけようとするのです。
こういった傾向があるため、1つ目の大問でまず時間を浪費させるタイプの問題が設置されていることがよくあります。何パターンも書き出したり、情報整理したりする必要がある問題です。要は、最後までたどりつかせないようにするために、入り口に設置された落とし穴だと考えてください。そして、ここで時間を消費してしまった多くの受検生がたどり着けない最後の大問は、実は拍子抜けするほど簡単な問題が控えていることが多々あります。このようなサービス問題を取りこぼすのは、非常にもったいないことです。
適性検査は、100%を取る必要はありません。どれだけ効率的に、取れるところを取りこぼさなかったか、これが大事です。そのため、基本的には得意分野、もしくはサービス問題が隠れていることが多い最後の大問を優先して、「取れるところを先に取る!」という戦略を立てましょう。
ここまで2年度分、お子さんに合った解く順序を探るために取り組んでいただきましたが、実は、「解く順序を工夫する」という考え方そのものがウチの子には合わないかもしれない、と気づくケースもあります。ページを開いた順に大問1、2、3と順番通り進めないとなぜか気持ちが落ち着かず、順序を変えることに居心地の悪さや焦りを感じる子もいれば、大問の順番に関係なく他の子が「捨て問(時間がかかり過ぎる、難解過ぎるため敬遠したほうがいい問題)」と判断するような問題も飛ばさず、応用問題で点を稼いでライバルと差をつけるほうが結果的に点が高くなる子もいます。
こういった傾向が把握できるのも、今回の取り組みの成果です。「取れるところを取捨選択できる」という力を身につけることが目的ですが、「ウチの子はそうではなさそうだぞ」と気づいた場合は、無理に順序を変えさせようとせず、お子さんの性格や強みに合わせて自由に解かせ、そのときの得点次第で方法を変えるかどうか判断するようにしてくださいね。