事前に「解く順序を決めるための取り組み」だと伝える
この取り組みを始める前に、先回りしてメンタル面のフォローを行います。この時期、過去問演習をすること自体、抵抗がある子もいます。なぜなら、解けない問題があったり、点が明らかに取れなかったりした場合、落ち込むのがわかっているからです。
やってみないとわからないけれども、ボロボロだったときの落ち込みから回復するための日数ロスを事前に防ぐため、「今回の取り組みは、できばえを見たいのではなく、解く順序を決めるためにやるのだ」ということを、きちんと伝えてください。時間制限内に終わらなかったり、焦ってまったく手をつけられなかった大問があったりしたほうが解決策を探すチャンスになり、本番の得点につながるので、「うまくいかなくても大歓迎!」と先に伝えて心のハードルを下げておきましょう。
これから先もまだまだ過去問演習は続きます。今回の取り組みはあくまでも「解く順序を決める感覚」を身につけるものなので、取り組んだ後にがっつり採点してがっつり解き直すのではなく(そのような丁寧な取り組みは2周目でかまいません。そうしないと、一気に3年度分消化する気力が残らないからです)、解いた直後の感触や感想を大事にするようにしてください。くわしい取り組み方は、この後ご説明しますね。
「1年度目」の解き方
さて、まずは1年度目です。大問は順番通りに、時間を計って解いてみましょう。解き終えたら、すぐに次の内容を確認してください。
●どこに時間を取られた?
●残した問題はがんばれば取れそう?
●あと何分あればその問題は取れそう?
●どういう順番で解けばもっと点が取れそう?
このとき、「解き方が悪かった」「もっとうまくできたはずなのに」というニュアンスで伝わらないよう注意してください。責められていると感じさせてしまうと、あと2年度分の取り組みに抵抗を生むだけです。明らかに得点が低そうでも、それを指摘するのはグッとこらえて、「持っている力を発揮するにはどの順番で解くのが一番いいだろうか」と話し合う機会にしてください。そして次の年度は、今回決めた順序を意識して解いてみましょう。
このような話し合いができるのが、適性検査対策の醍醐味でもあります。戦略についての話し合いを重ねることで、親子という関係からアスリートとコーチのような強い信頼関係に変化していきます。これは、公立中高一貫校受検ならではの親子の在り方だと思います。