〈公立中高一貫校の受検対策〉過去問は「親も解いておくべき」深いワケ【合格アドバイザーが解説】

〈公立中高一貫校の受検対策〉過去問は「親も解いておくべき」深いワケ【合格アドバイザーが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

公立中高一貫校を“受検”しようと本気で思ったら、何をすべきでしょうか? 公立中高一貫校合格アドバイザー・ケイティこと窪田亜実氏は、著書『公立中高一貫校合格バイブル』(実務教育出版社)にて、保護者も志望校の過去問を本気で解いてみることをおすすめしています。※ほとんどの公立中高一貫校では、合格者は報告書+適性検査(ペーパーテスト)の合計スコアで決まります。公立中高一貫校は「学力試験で入学可否を決めてはいけない」という決まりがあるため、あくまでも「試験」ではなく「検査」という位置づけで選抜が行われます(受「験」ではなく受「検」と書くのは、そのためです)。

過去問を解く上で調べておくべきこと

ここからは、志望校の過去問を解く上で、調べておくべきチェックリストをご紹介します。図表2のチェックシートをもとに分析することで、より的確に傾向を把握することができます。なお、分析に完璧な正解も完全な不正解もありませんので、ご自身の直感に頼る部分があっても、まったく問題ありません。

 

出所:ケイティ(窪田亜実)著『公立中高一貫校合格バイブル』(実務教育出版社)より
[図表2]志望校分析のチェックシート 出所:ケイティ(窪田亜実)著『公立中高一貫校合格バイブル』(実務教育出版社)より

 

このように、保護者の方の主観が入ったメモでかまいません。どんどん分析して、メモとして残しておきましょう。複数年度分見てみると、より正確に傾向をつかめますし、「この学校はこういうテーマが好きなのかも」という推測もできます。また、このようなメモがあれば、他の学校と客観的に比較することができ、志望校の傾向がよりいっそうつかめるようになります。さらに、塾などの説明会で志望校について情報収集するときに、分析したからこそ納得できることが増えたり、実践的なアドバイスを求めたりすることにもつながります。

 

合格した保護者の方の取組を聞いてみると、分析した上でお子さんのレベルに合わせた提案ができているように思います。塾も強力なパートナーですが、親御さんからも、お子さんのマネージャーとして合格確率を上げるサポートができれば、非常に心強いでしょう。分析するのは大変ですが、受検勉強のはじめの一歩として、志望校の過去問を解きながら情報収集してみてくださいね。

「解いたことがあるか否か」は親子の信頼関係にも影響

以前、とあるママさんが「私は過去問を解いたとき、作文はもう二度と書きたくないと思ったのに、わが子は毎日がんばって作文を練習していて、その背中を見て本当に尊敬したんです」と教えてくれたことがありました。保護者の方が適性検査ならではの難しさを実際に体験したからこそ、そのような問題に日々向き合うお子さんを心から頼もしいと思えるはずです。そして、その気持ちは必ず言動の端々に現れ、お子さんの自尊心や気持ちを後押しします。

 

最終学年になると反抗期も始まり、大人でもなく子どもでもない難しい時期に入ります。ちょっとしたことが大きな親子バトルの引き金になり、「受検しない!」「受検させない!」発言も飛び出すようになりかねません。私が仲裁をしていて、受検生たちから一番よく聞く言葉は「ママは解いたことないくせに」です。

 

 

学校のテストとも異なり、「この式を覚えれば、この単元は得点できる」というわかりやすい範囲のない適性検査に対して、子どもたちは解けば解くほど合格が遠ざかっていくような歯がゆさを覚えるようになります。そんなとき、保護者の方からのちょっとしたアドバイスにカチンときて、反抗期のモヤモヤをぶつけてしまう…。さらには、保護者のチェックを一切受けつけなくなり、「机には向かっているけれど、何をやっているか見せてくれない」という状態に…。そんなケースを何度も(大げさではなく、毎日のように)見てきました。

 

しかし、お父さん、お母さんが苦戦しながらも自分と一緒に解いていることを知っている子や、「こんな難しい問題に挑戦しようとしているあなたはすごいね!」と言葉や態度で示されている子は、保護者の方のアドバイスに対しても心を開いているように感じます。

 

親からの信頼と、お子さんからの信頼、この双方向の信頼関係を築きましょう。親子バトルで消耗(しょうもう)する回数を少しでも減らすためにも、ぜひ保護者の方が実際に過去問演習をしてみてくださいね。これが、対策の本当のスタートとなるのです。

 

【ポイント】
保護者分析は点を取ることが目的ではないので、肩の力を抜いて挑戦してみよう。傾向と気づきをメモして対策に活かしながら、「一緒にがんばっているよ」と行動で示そう。

 

 

ケイティ(窪田 亜実)

公立中高一貫校合格アドバイザー

 

 

※本連載は、ケイティ(窪田亜実)氏の著書『公立中高一貫校合格バイブル 受検500日前から本番まで「いつ」「何を」するべきか』(実務教育出版社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

公立中高一貫校合格バイブル 受検500日前から本番まで「いつ」「何を」するべきか

公立中高一貫校合格バイブル 受検500日前から本番まで「いつ」「何を」するべきか

ケイティ

実務教育出版社

わが子が公立中高一貫校に合格するために「親がすべきこと」がこの一冊でよくわかる! ●公立中高一貫校の受検を検討しているものの、どこから対策すればいいの? ●本当に塾が必要なの? ●どこまで保護者のフォローが必…

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