いま注目される「アメリカ地方債」の投資魅力

本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が6月6日に配信したレポートを転載したものです。

本記事のポイント

・不透明な市場環境のなか、見直されつつある米国地方債。米利上げ転換により米国地方債の利回りは4%台へ上昇。

 

・利上げの織り込み一巡や景気後退への懸念から米国地方債利回りに安定化の兆し。地方債の需給環境も改善傾向。

 

・米国の州・地方政府の税収は過去最高額を更新。米国地方債はファンダメンタルズ改善により格上げが優勢となる。

 

・米国地方債の高い信用力は景気後退リスクへの耐性を備える。為替ヘッジ後でも米国地方債は利回りの妙味を維持。

不透明な市場環境のなかで注目される米国地方債

ウクライナ情勢の悪化や世界的なインフレと金融引き締めへの警戒から、2022年の世界の金融市場では不透明感の高まりが続いています。こうしたなか、地政学的リスクを回避しながら、安定したインカム収益を獲得する投資対象として米国地方債が見直されつつあります。

 

4%台の利回りで米国地方債の投資妙味高まる

米国では2022年3月に米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに転換し、先行きの利上げ加速懸念から米長期金利の上昇基調が続いてきました。

 

米長期金利の上昇に連動する形で、米国地方債利回りは4%台まで上昇しています(対米国債スプレッドは136bpへ拡大、図表1)。

 

もっとも、足元では市場での米利上げの織り込みも概ね一巡しつつあることや、金融引き締めに伴う今後の景気後退リスクへの懸念が浮上していることで、米長期金利や米国地方債利回りは落ち着きを取り戻し始めています。

 

米国地方債利回りに安定化の兆しがみえるなか、米国地方債への投資を検討する投資家にとっては魅力的なエントリー・ポイントが近づきつつある可能性があります。

 

(出所)ブルームバーグ(期間)2015年1月1日~2022年5月31日 (注)米国地方債はブルームバーグ米国地方債(課税債)指数。米国地方債の利回りおよびスプレッドは期限前償還の考慮後。
[図表1]米国地方債利回りの推移 (出所)ブルームバーグ(期間)2015年1月1日~2022年5月31日
(注)米国地方債はブルームバーグ米国地方債(課税債)指数。米国地方債の利回りおよびスプレッドは期限前償還の考慮後。

 

改善に向かう米国地方債の需給環境

実際、足元での利回り上昇を受けて、米国地方債の需給環境も改善に向かいつつあります。2022年初来の米国地方債ファンドの資金フローは、急速な金利上昇を嫌気した米国の個人投資家主導の資金流出傾向が続いてきました。

 

しかし、足元では利回り面での米国地方債の投資妙味の高まりから、ミューチュアル・ファンドからの資金流出が縮小し始めたことに加えて、ETFへの資金流入が拡大傾向にあります(図表2)。

 

さらに、2022年の年央にかけては、既存の米国地方債の利払いや償還に伴う再投資資金の流入が米国地方債の需給改善を後押しすると期待されます。

 

(出所)米投資信託協会(期間)2022年1月5日~5月25日(週次)
[図表2]米国地方債ファンドの資金フロー (出所)米投資信託協会(期間)2022年1月5日~5月25日(週次)

 

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フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社 シニア リサーチ アナリスト

日本証券アナリスト協会認定アナリスト
日系運用会社に入社後、日系大手証券会社、シンクタンクなどを経て、約20年超にわたり一貫して海外経済および不動産市場の調査・研究業務(エコノミスト、ストラテジスト、研究員)に従事。2013年にレッグ・メイソン・アセット・マネジメント(現フランクリン・テンプルトン・ジャパン)に入社。米国や豪州、ブラジルなどをはじめ世界の投資環境に関する情報提供を担う。

著者紹介

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