(※写真はイメージです/PIXTA)

東京都の中心部や湾岸エリアのタワーマンションでは、高層階を中心に1億円を超える高額物件が続々販売されて、それが飛ぶように売れているといいます。実際に首都圏の新築マンションの平均価格はバブル期を抜いて6360万円で過去最高を更新しました。1億円を超える「億ション」は、どんな人が買っているのでしょうか。

借りることができる金額と返せことができる金額

少し冷静に「億ション」を見ていきましょう。

 

■億ションを購入する目的は?

 

都心のマンションが発売されると、すぐにそのマンションの複数の部屋がネットの賃貸物件の情報サイトなどに掲載されることがあります。新築マンションがすぐに賃貸に出されるということは投資目的で購入されていることを意味します。

 

値上がりを期待するキャピタルゲイン狙い。しかも、値上がりを待つ期間は賃貸物件として貸し出し、家賃収入も期待することができます。新築の億ションなので家賃も比較的高めに設定できるメリットもあります。

 

もちろん自宅として住むことを目的としていても、目減りのしない資産として億ションを購入している人も多いことでしょう。

 

■1億円借りられる年収は?

 

1億円を借り入れでまかなうとすると、年収が問題になります。1億円を借り入れることができる年収はいくらなのでしょうか。ちなみに1億円を金利1.5%、35年ローンで借り入れるとすると、月々の返済額は30万6184円。返済総額は1億2859万7261円となります。

 

従って、毎月30万円以上のローン返済ができる手取り収入があることが前提となります。

 

■金融機関の融資基準は?

 

金融機関が融資を行う条件から考えてみましょう。一般的な金融機関の融資基準は年間収入の35%が返済額の限度です。金利1.5%、35年ローンで1億円を借り入れたとすると、下記のようになります。

 

30万6184円×12ヵ月=357万4208円(年間返済額)
(年間返済額)357万4208円÷35%=1049万円

 

1億円を借りるには1049万円以上の年収が必要になります。パワーカップルであれば簡単に乗り越えられる年収額でしょう。

 

確かに、億ションを購入しやすい環境が整っているのも事実です。

 

ただ、たとえ夫婦共働きであっても、子育て、転職、病気や事故といった事情で、夫婦のどちらかの収入が減ったり、途絶えたりするリスクがあります。

 

さらに、たとえば35歳で長期ローンを組み「億ション」を購入した夫婦が、2人とも収入が途絶えることなく、70歳までローンを返済し続けることが現実的に可能でしょうか。

 

経済の風向きが変わって気づくのが、「借りることができる金額が、返せる金額ではない」ということです。

 

次に忘れてはならないことがあります。住宅ローンの金利は、これ以上下がることはないものの、上昇するリスクはあります。

 

金利1.5%の場合→月々の返済額30万6184円、返済総額1億2859万7261円
金利3%の場合 →月々の返済額38万4850円、返済総額1億6163万6772円
金利5%の場合 →月々の返済額50万4687円、返済総額2億1196万8752円

 

いまのような超低金利政策がいつまで続くのか、まさに「神のみぞ知る」なのです。

 

GGO編集部

 

 

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