億ションを購入するパワーカップルの存在
東京都の中心部や湾岸エリアのタワーマンションでは、高層階を中心に1億円を超える高額物件が続々と建設、販売されて、しかもそれが飛ぶように売れているといいます。
実際に、2021年度(21年4月~22年3月)の首都圏(1都3県)の新築マンション1戸当たりの平均価格は6360万円(前年度比6.1%増)でした。実はこの数字はバブル期の1990年度に記録した6214万円を上回り、過去最高を更新しました。
発売戸数は2期連続の増加で3万6641戸。2018年度以来の3万戸を突破しました。東京都心のタワーマンションを中心に高価格物件の人気が高く、平均価格を押し上げています。緊急事態宣言もあったコロナ禍にあっても、2021年暦年(1月~12月)の平均価格は6260万円と過去最高だったのに続き、2021年度もバブル期を彷彿させる旺盛な需要を示しています。
ちなみに東京23区でみてみると新築マンション1戸の平均価格は8449万円(前年度比11.7%増)、東京都下で5137万円(同5.1%減)、神奈川県は5209万円(同5.5%減)、埼玉県4929万円(同7.8%増)、千葉県4383万円(同0.5%減)でした。東京23区が突出していて、新築マンションの平均価格を押し上げている格好です。
建設現場の人手不足による人件費の上昇、円安による建設資材の高騰もあり、首都圏の物件価格が下がる要素がないと指摘されています。
しかし、1億円を超える「億ション」が次々に売れています。いったい、どんな人が買っているのでしょうか。
かつて「億ション」を購入していたのは、会社の経営者、投資家、医師といった、いわゆる富裕層だけでした。しかし、現在「億ション」を購入しているのは、会社員が多いといいます。
確かに、現在、極めて金利が低い時代です。頭金を用意しなくても、フルローンで住宅ローンを借りることができます。6000万~7000万円程度は、年収の高い会社員なら借り入れが可能な時代です。さらに共働きの夫婦であれば、その倍近く、2人で1億円以上の住宅ローンを組むことが可能です。
つまり、現在「億ション」を購入しているのは、富裕層と呼ばれる「特殊」な人たちだけではなく、平均を上回る高い収入を得ている共働き夫婦が最大限のローンを組み、「億ション」を購入しています。最近よく聞くようになった「パワーカップル」とよばれる収入の高い夫婦が「億ション」を共有で購入しているという現実なのです。