「理系なら、社会科目は地理を選べ」は半分ウソ
国公立大狙いで理系の場合、社会の受験科目で何を選ぶかは意外と重要です。先輩ママの助言やネットなどの情報で安易に選んでしまうと、後で受験戦略が窮屈になってくる可能性もあるからです。特に「国公立大学の理系は地理を選べ」という説がまことしやかに存在しますが、私はこれには全面的には賛成はできません。社会には世界史、日本史、地理、現代社会、倫理があり、受験科目としてお勧めする順番も私の場合は以下の通りです。
■「医学部を除く理系」なら地理がオススメ
東大の文系や理科Ⅰ、Ⅱ類を受けるなら、地理を選んで大丈夫です。社会は共通テストで85%以上得点しなければ合格は見えてきませんが、地理は70〜80%までは比較的ラクに取れるからです。ちなみに試験で覚えるべき用語は地理が約3700語、世界史が5600語、日本史が1万700語です。地理は覚えれば時間対効果が高いのです。地理の合格ラインが80%程度で共通テストを突破できる大学を目指すなら、地理を選ぶことには問題ありません。
■国公立大医学部を狙うなら世界史か日本史
国公立大医学部を狙うなら、世界史か日本史、地理は、共通テストで80%の得点は比較的簡単でも、そこからはなかなか得点を上げづらいという特徴があります。国公立大医学部は、社会で90%の得点が必須条件になってきます。
90%以上の得点を狙うなら、断然、世界史か日本史です。地理に比べて学習時間がかかるのは事実ですが、学校の授業を活かせばそのハンデは補える範囲です。
⇒時間対効果で選ぶなら地理。高得点を狙うなら日本史・世界史
⇒世界史は暗記事項は少ないが「流れ」をつかむのが成否のポイント
⇒日本史は暗記する用語は多いが「流れ」は覚えやすい
「世界史」は他の科目でも役立つ
世界史は範囲が広く、固有名詞もカタカナが多くてややこしい印象があるので、敬遠する子どもが多いのが現実です。また、学習が広範囲にわたるので、全体像がつかめない間は、関連性を把握することが難しいです。しかし、全体像が分かり始めて、史実がつながり始めると一気に成績がアップします。覚える知識は日本史に比べると半分程度であり、満点も狙える教科です。
世界史を選択するメリットでは、世界史の知識が現代文や英語の問題にも活かせるという副次効果も見逃せません。例えば、英語の長文ではダーウィンやアインシュタインの話や人物像がテーマとしてよく取り上げられますが、世界史でダーウィンや彼の著である「種の起源」や「自然淘汰」「適者生存」を学んでいたり、アインシュタインと「相対性理論」、ニュートンと「万有引力の法則」のつながりを知っていれば、読みやすい英文がたくさんあります。また、京都大学では、ギリシャ・ローマ時代の哲学者が頻繁に登場します。
⇒世界史の知識は特に英語で活きてくる