ところが、いくら記録的スピードで失業率を下げても…
ところが、やはりインフレ率には問題を抱えている。2021年1月に1.4%であったインフレ率は、2022年4月には8.3%にまで上昇した。
エコノミストとユーガヴが5月15~17日に実施した共同世論調査によると、アメリカ国民が失業とインフレのうち重大な問題と捉えているのは、「失業」が6%、「インフレ」が56%、「両方」が32%であった。
2020年大統領選挙でバイデン氏に投票した回答者に絞っても、「失業」と答えた人が7%、「インフレ」が57%、「両方」が31%だ。
バイデンがいくら記録的に速いスピードで失業率を下げ、雇用を生んだとしても、いまのアメリカ国民は日々の生活のガソリン価格・食費を重視していることが明らかである。
アメリカ国民が考える「ガソリン価格高騰の責任」
このインフレについて、バイデン氏は「プーチンの値上げだ!」と述べているが、アメリカ国民は「ガソリン価格高騰の責任」はどこにあると考えているのだろうか。
マリスト大学(東部ニューヨーク州)が3月22日~29日に実施した世論調査の回答結果は以下の通りである。
「石油会社」24%
「戦争・制裁」22%
「バイデン大統領の経済政策」43%
「需要」6%
4割を超える国民が、バイデン氏の経済政策に責任があると考えているのだ。
バイデン氏は戦略石油備蓄について、6ヵ月間、1日平均100万バレル追加放出すると発表しているが、エコノミストとユーガヴが4月2日~5日に実施した共同世論調査では、「戦略石油備蓄の放出がガソリン価格を下げると思いますか?」という問いに「はい」と答えた人はわずか27%、「いいえ」と答えた人が40%であった。
インフレを抑えない限り、バイデン大統領の40%前半の支持率は続くであろう。
バイデン大統領、支持率を上げる「新しい戦略」
ではバイデン大統領は、支持率回復のためどのような対策を取っているのだろうか。
昨年バイデン氏は、コロナ禍でホワイトハウスを離れることができなかった。この状態では支持率が上がらないと、今年はホワイトハウスのあるワシントンから出て地方へ行き、有権者に直接語り掛けるという新しい戦略を打ち出した。