「現金」での購入が多い中国の不動産市場
初日となる7月15日(金)は朝早くから、会場となるペニンシュラホテル・オフィスタワーに参加者が続々と集合。定時となり、NWBの中島CEOが開催の挨拶に立った。同氏は、今朝初めて九龍島から香港島にかかる虹を見たことを披露。虹は中国広東地方では幸運の象徴とされているため、何か良い事が起こる吉兆だとし、「今回のフォーラムがペニンシュラ投資クラブという愛称で、海外資産運用の情報収集と交流の集いになれば」と述べた。
挨拶のあとは、中国経済の状況についての講演が第1セッションとして始まった。現在の中国は「一人っ子政策」以降に生まれてきた子供達の結婚時期を迎えており、結婚すれば両方の親からの援助がもらえるとのこと。それを踏まえたうえで、中国の成長率や投資の動向、不動産価格指数などのデータを読み取れば、一般の購買力は予想されている以上に高いのではないかと発表。また、農村部から都市への人口流入が激しく、今後もその流れは続く事が予想されるという。一方で不安要素としては、急激な社会の高齢化が今後に予想される点が指摘された。
続いて、東急不動産上海支店の張氏による、中国の不動産市場の最新事情についての講演が始まった。同氏によれば、現在の不動産市場は好調であるが、「商業施設に関しては在庫の過剰供給」という状況にあるという。一方、北京や上海の市場はバブルではないかという懸念に対しては、バブルの定義は困難であるとしつつ、「在宅ローンを利用しているのは3割ぐらいで、現金で購入している人が多く、アメリカや日本の不動産事情とは異なっています」と述べた。
また、この状況下においては、日本のデベロッパーは青島市などの2級都市に狙いを定めるべきであるが、投資すべきでない都市やエリアもあるので、プロジェクト選別には慎重を期すべきだとした。また、住宅賃貸事業は好調であるが、オフィス事業には参入すべきでないとの見解を示した。加えて、法律の整備などの問題があるものの「REIT市場が非常に興味深く、これから中国で成長するかもしれない分野」だという期待感を表明した。
フィリピンの「プレビルド投資」は曲がり角!?
続く第2セッションでは、株式会社マリモ・国際投資営業部部長の岡崎健治氏とMarimo Real Estate Philippines Inc, Presidentの沖本信幸氏が登壇した。
まず岡崎氏により、アメリカの不動産投資がピークに達していることと、東南アジアマーケットについて、日本不動産研究所より提供されたデータとともに、その現状が紹介された。ASEAN各国の人口構成を比較すると、インドネシアがもっとも魅力的ではあるが、同国では外国人の売買が制限されているため、次に魅力的なのがフィリピンやマレーシア、カンボジアになると解説した。
その上で同氏は、「マレーシアのクアラルンプールは人口密度や成長率、他都市との価格比較においても魅力的ではありますが、過剰供給の状況にあり、不動産価格に対して賃料が追いついてきていないというリスクがあって推奨できません」と述べ、またバンコクも同じく供給過剰な状態であることを説明した。
一方、フィリピンのマニラでは、5年間での利回りの差がほとんどない事を指摘。また、東南アジア各都市におけるマンション供給総数はバンコクがもっとも多い一方で、マニラはもっとも少ない都市だと説明をした。
続いて沖本氏によって、フィリピンの基礎データが解説がされる。そしてフィリピンで一時ブームとなっていた不動産の先行投資スタイルが、現在ではターニングポイントを迎えているとの見解を示した。
同氏によると、現状では希望する販売価格で竣工時に売却することが困難なケースがほとんどで、先行投資スタイルは損失リスクが高いということだ。その上で、保有投資スタイルと先行投資スタイルの違いを、マリモのフィリピン現地法人が取り扱っている物件を実例に挙げながら説明をした。
次回は第3セッションと第4セッションの模様をお伝えします。