「5W1H」を見極めてファンドを選定
第3セッションにはNWB・商品部長の幾田朋彦氏が登壇し、NWB流のファンド選定について講演を行った。同氏は複数資産の組み合わせによるマルチ・アセットアロケーションのメリットを説明し、「分散投資の一番の目的はなるべく負けない運用を目指すこと」であると語った。
また、日本の投資信託は本数では世界有数であるものの、残高では米国の1/10程度に過ぎず、アクセスできるアセットクラスにも偏りが見られると指摘。その時々の流行・トレンドに沿って新しい投信が設定されたことが、原因となっている可能性が高いと述べた。
続けてファンド投資のメリットとして以下の5つを挙げて説明をした。
・ プロに運用を任せられる
・豊富な知識と経験を有効活用
・個人では買えない金融商品への投資が可能
・個人では利用しにくい投資手法の活用が可能
・少額で分散投資が可能
そのうえで、ファンド投資の様々なリスクを回避するためには、きちんとした運用会社を選択する必要がある事、そのためには以下の5W1Hを見極めることが重要であると説明した。
WHO ファンドマネージャーの経験や会社としての体制と制度
WHEN 選定するタイミングは最適か
WHERE 投資している国や地域
WHAT 投資対象の性質
WHY なぜその商品なのか(他のファンドにない強み)
HOW 投資手法
特に「Why」が重要であり、ここで商品担当としての総合的な判断力が問われると述べた。そして、質問状の送付による基礎的な情報収集、オンサイト訪問やインタビューを通した運用担当者との対話、第三者を経由した客観的な情報の収集などから、堅実な商品を選ぶことを意識していることを説明した。
香港に上場する企業の7割は「オフショア法人」
第4セッションでは日本、香港、中国本土で多くのM&A案件を手掛けてきたKyogo Investment代表の本名正博氏が登壇した。同氏はまず、中国市場で取引される株式の種類について、以下のように4つに分類されることを説明した。
続いて香港の上場企業のうち、7割以上がバミューダやケイマンに籍を置くオフショア法人であり、特にケイマン法人による香港上場が活発である事が紹介された。その上で、オフショア法人のメリットを、外貨送金規制、国内の資金調達環境、国内外の法制度の差異という3つのポイントから解説を加えた。
最後に、日本の投資家による香港オフショア活用法とタックス・ヘイブン対策税制についての解説があった。その中で、2010年のタックスヘイブン対策税制改正後、香港の持ち株会社が「地域統括会社」として認められた場合には、そこで得た利益を日本の本社の利益と合算せずに、香港の低税率を活用することが可能となった事を解説した。
次回は第5セッションと第6セッションの模様をお伝えします。