今回は、第5セッションの「デリバティブと仕組債」と第6セッションの「世界のヘッジファンド投資」についてお伝えします。 ※本連載は2016年7月に香港にて開催された、香港の新しい金融機関ニッポン・ウェルス(NWB:Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank)主催による「第2回投資フォーラム」についてお伝えをしています。

「古代ギリシャ」まで遡れる!? デリバティブの歴史

第5セッションには、Leonteq Securities(Hong Kong)Limited マネージング・ディレクターの久保智氏が登壇し、デリバティブと仕組債についての講演を行った。

 

同氏によるとデリバティブの歴史は、古代ギリシャ時代まで遡れるという。また18世紀に、大阪堂島に「整備された先物取引市場」が誕生したのを始め、金融工学の発達に合わせて、天候デリバティブやクレジットデリバティブ等、様々なデリバティブ商品が誕生していったことを概説。それが21世紀に入り、リーマンショックを契機にして、デリバティブ取引における安全性が再検討され、取引規制などの引き締めが行われたと説明をした。

 

また、一般投資家には馴染みが薄いスワップ取引についても、1980年代のIBMと世界銀行との通過スワップという出発点から、現在に至って様々な局面で活用されるようなったことなどの解説がなされた。

 

次に仕組債にテーマを移し、仕組債の一つとして、利金・償還金が株価指数のパフォーマンスに連動する株価連動債(EB債)や、利金・償還金が外国通貨レートに連動する為替連動債(デュアル・カレンシー債)についての、詳細な説明を行った。その上で、仕組債に特有のリスクと、一般的な債権に共通するリスクについての解説を行い、投資を検討するにうえでのチェックポイントを紹介した。

トレンドは「グローバル・マクロ」と「ロング/ショート」

初日最終の第6セッションでは、最新ヘッジファンド投資動向をテーマに、ソシエテ・ジェネラル・ダイレクターの山内憲二氏が講演。世界または日本のヘッジファンドについて全般的な解説をした。

 

同氏によると、現在、世界には 1万149社のヘッジファンドが存在し、5,000以上の機関投資家が活用をしているという。そのうちアジア・パシフィック地域には2,213社が存在し、同地域のヘッジファンドに投資する機関投資家の数も556に及ぶという。また、同地域のヘッジファンド投資の規模はおよそ150億米ドルにのぼり、そのうち70億米ドルは日本が占めている。ヘッジファンドのトレンドについては、世界的にはグローバル・マクロ、エクイティ・ロング/ショートがトレンドになっている事が紹介された。

 

2日目のセッションは以上で終了。その後、映画のロケ地としても有名な香港島南部のアバディーンにある会員制クラブ「アバディーン・マリナクラブ」にて、懇親会も兼ねてのディナーが催された。参加者一同はプライベートなウオーター・フロントで提供される、最上のサービスと優雅な景色を堪能しつつ、他の参加者や講演者らと親睦を深めていた。

 

次回は2日目に行われた第7セッションの模様をお伝えします。

当記事の記載内容は情報の提供および学習を目的としたものであり、運用は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。また、当記事に基づいて運用した場合の投資結果については、NWBおよび幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。

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