海外だからこそできる「相続対策」とは?
第8セッションは日本・中国本土・香港それぞれの税制に精通する牧野好考氏が登壇し、「日本国外資産の保有と税制」というタイトルで講演を行った。ここでは、個人で投資した場合と法人で投資した場合に分けて、注意すべき税制上のポイントについて、具体的な解説がなされた。
また、外国に居住していれば生命保険の活用の幅が広がることや、ジョイント・アカウントという共同名義人口座を開設することで相続対策を講じられることなどが説明された。一方で非居住者であっても、日本の「財産債務調書制度」の対象となる可能性がある点に、同氏は注意を促した。
先進国の格差拡大と、米国大統領選の結果に注目
最終の第9セッションにはマネックス証券株式会社チーフストラテジストの広木隆氏が登壇。同氏は2016年後半のグローバル市場展望をテーマにして講演を行った。
そのなかで、アメリカやイギリスというアングロサクソン諸国では所得格差が大きい一方、フランス、ドイツ、スウェーデンなどのヨーロッパ諸国はそれほどではない点に注目をし、「中間層より富裕層と貧困層の割合が多く、資本のリターンが経済成長率よりも高いのは、雇用のミスマッチが起きていることが一つの原因」と分析した。
またCAPE指数とS&P500および日経平均の相対パフォーマンスを、グラフを示しながら説明しつつ、11月に行われるアメリカ大統領選について、その景気に与える影響について予測を交えて解説を行った。
2日目に予定していた3セッションは以上で、引き続き開催式がとりおこなわれて、前夜祭を含めて3日間の香港投資フォーラムが終了した。主催者のNWBによると、第三回の開催を今秋に予定しているという。
次回は、3日間の模様をダイジェスト版で振り返ります。