場当たり的な売買では勝率アップは望めない
連載第4回から第7回までに紹介した4つの事例をご覧になってどうでしたか?
これまでの自分の投資の結果と比較して当てはまる部分が多かったであるとか、あの時、株の入門書に書いてある通りにしたら売りそびれて塩漬けになってしまっただとか、思い当たる人は今からでも遅くはありません。是非ここから先に読み進めていってください。また、テクニカル分析を最後までしっかり学んでください。
場当たり的で感覚的な売買や、ファンダメンタル分析に基づいた長期投資という名のもとに、いたずらに無駄な時間だけが過ぎていき、投資の成果はさっぱり上がらなかったといった経験がある人や、そうした経験をこれからしたくないと考えている投資家のみなさんには役に立つはずです。
テクニカル分析で売買タイミングの見極めが可能
では、先に読み進めるにあたって、これまで解説した業績と株価の動きの例や、業績に関係なく、株価の値動きだけを感覚的に捉えて判断するなど4つの例では、テクニカル分析的にみると、どういったところに注意しておく必要があったのでしょうか?
まず、連載第4回で紹介したトヨタ自動車の例からです。3期連続の最高益更新と、好業績が発表され、売上高を上方修正しても、株価が先行して頭打ちになり、徐々に高値が切り下がってきていたわけですから、株価の方向(トレンド)が変わりつつあったということに注意が必要でした。
次に連載第5回で紹介した東京急行電鉄の例では、業績が悪くなっているにもかかわらず上昇していましたが、ここでも業績発表よりも早く株価は安値をつけ、そのあと決算発表を受けても下がらなくなり、逆に上昇が続く結果となりました。ここで売ってしまわないために注意する必要があったのが、やはりトレンドです。
値動きだけを頼りに考えて売買を組み立ててみた住友不動産の場合は、株価が上昇している中ではありましたが、売買タイミングが悪いと損失を抱えてしまうことになってしまう例でした。特に、株価のトレンド転換に気づかずに買ったことが損失を拡大させた原因と考えられます。
最後に、連載第7回で紹介したソニーの例で確認しなければならなかったのは、トレンドに加えて、株価がいわゆる天井となる高値を形成するときや、大底といわれる安値を形成するときに現れる形(これをフォーメーションと呼びます)に注意する必要がありました。
このように株価の値動きを一つ一つ確認していくと、いかに売買タイミングが重要で、入り口を間違うと、損失の発生や拡大につながり、その後のパフォーマンスに悪影響が出る一方で、うまく売買タイミングをとらえることができれば、利益の拡大や損失を減らすことに結び付けることができると考えられるのではないでしょうか。
すなわち、ファンダメンタル分析に加えて売買タイミングを教えてくれるテクニカル分析を知ることが、失敗を減らす近道であると考えられるのです。