今回は、「モメンタム分析」とトレンド分析を併用するメリットを説明します。※本連載は、IFTA国際検定テクニカルアナリストとして活躍する福永博之氏の著書、『ど素人が読める株価チャートの本』(翔泳社)の中から一部を抜粋し、「テクニカル分析」の基礎知識と分析方法を紹介します。

他分析の誤ったシグナルを発見するのにも有効

今回は、モメンタム分析について説明します。モメンタム分析は、トレンド分析の補足として使われると同時に、オシレーター系テクニカル指標の誤ったシグナルを発見するのにも有効な指標となります。

 

そもそもモメンタムを直訳すると、勢いや推進力などといった言葉が当てはまりますが、その和訳通り、モメンタムは株価の勢いを表す指標です。

 

ではなぜトレンド分析と共に補完的に使われるのかというと、株価が上昇トレンドと判断されても、勢いがなければ長続きしませんし、また推進力という意味からすると、値動きに勢いがなく小さくなることが考えられるからです。

 

そうなった場合、予想される結果は、上昇トレンドと判断して買ったものの売り圧力に負けて上昇がいったん止まってしまったり、株価が反転して下落に向かったりすることです。

上昇トレンドでモメンタムが強くなり始めたら・・・

そこでモメンタムが示す、勢いの度合いをトレンド分析とあわせて活用することで、今発生しているトレンドが強いのか、弱いのかに加え、上昇トレンドの勢いが強いのか、あるいは下落トレンドの勢いが強いのかなどを判断できるようになります。

 

チャートは以下のようなものになります。

 

[図表]三菱電機(6503)の日足チャートとモメンタム

 

こうした特徴を活用して、上昇トレンドが続いていると判断されても、勢いが鈍ければ早めに利益を確保したり、損失が拡大しないうちに売却したりといった判断に役立てられるようになりますし、また逆に下降トレンドと判断されても、モメンタムの下落の勢いが低下しているようであれば、「そろそろ」買いタイミングがやってくるのではといった判断が客観的な数値を基にできることになるわけです。

 

さらにポイントとしては、上昇トレンドでモメンタムが強くなり始めたところでは、買いまたはホールドと考えられますし、上昇トレンドでモメンタムが弱いときや、下降トレンドでモメンタムが強いときなどは、様子見や利益確定を優先させるといった判断が導き出されます。

 

いかがですか? ローソク足に加え、トレンド分析やオシレーター分析を身につけることによって、売買タイミングがはかりやすくなると思いませんか? また、使いこなせるようになれば、パフォーマンスの向上に役立つはずです。

ど素人が読める 株価チャートの本

ど素人が読める 株価チャートの本

福永 博之

翔泳社

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