今回は、「ローソク足」を使ったトレンド分析の方法を見ていきます。※本連載は、IFTA国際検定テクニカルアナリストとして活躍する福永博之氏の著書、『ど素人が読める株価チャートの本』(翔泳社)の中から一部を抜粋し、「テクニカル分析」の基礎知識と分析方法を紹介します。

終値が上方向と下方向のどちらを更新したか?

ローソク足を使ったトレンド分析の考え方や見方について解説します。トレンド(株価の方向を知る)の分析方法にはいくつかありますが、その中でもトレンドを知る基礎となるローソク足を使った方法を紹介します。

 

ローソク足を使ってどのようにトレンドを分析すればよいのでしょうか。ヒントは、ローソク足を作っている情報です。そうです。株価や陽線、陰線などを基に考えるのです。たとえば、上昇トレンドとはどういう状態のことを指すのか考えてみてください。

 

上昇トレンドとは、株価の右肩上がりが続いている状態を指すとしましょう。そのとき、ローソク足はどのような形になっていると考えられるでしょうか。また、価格の水準はどうなっているのでしょうか。

 

上昇トレンドといった場合、ローソク足の終値で前日の高値を更新している必要があるはずです。また、ローソク足が陽線を形成していることも必要です。

 

一方で、ローソク足が陰線でも前日の終値を更新していれば、上昇トレンドと考えられますが、ローソク足が陽線を形成していても、前日の終値を上回っていなければ、上昇トレンドとはいえないことになります。さらに、前日の終値を終値で更新している場合、下降トレンドといえます。

 

また、安値を更新すると同時に陽線を形成していることも考えられますが、陰線を形成していても、前日の終値を上回って終えていたならば、下降トレンドではないことになります。

 

このように、前日の終値を上方向に更新したか、あるいは下方向に更新したかどうかを基に短期的なトレンドの判断に活用するのです

陽線や陰線から「見えないトレンド」を読み解く

陽線や陰線が何を意味しているのかを結びつけることによってもトレンドの判断ができます。

 

例えば、前日の終値を上に更新していなくても、前日の終値に近いところで陽線を形成しているのであれば、上昇トレンドが続いていると考えたり、前日の終値を下方向に更新していなくても、陰線を形成している場合、下降トレンドと考えたりするわけです。

 

このようにしてトレンドの定義づけをすることによって、株価が上昇中か下降中かが判断できると同時に、保有株が上昇トレンドと判断できれば、持ち続けて利益を伸ばすことを考えます。逆に下降トレンドと判断されれば、買うのを見送って様子をみることもできるようになります。

 

さらに、株価が前日の終値を上回ったり、下回ったりしているケースでは、株価は横ばいと判断できますし、仮に一定の値幅でそうした値動きが起こっているのであれば、その値幅の下限で買って、上限で売るといった売買戦略を考えることもできるようになります。

 

このようにローソク足が示している情報を基に定義づけすることによって、全く気付かなかったトレンドがみえてくるようになるのです

 

また、このトレンドがみえてくるようになると、翌日の動きが予測できるようになると同時に、予測と異なる動きになった場合も変化の兆しに気づき、売買判断に役立てられるのです。

 

ただ、株価が前日の終値を上方向に更新し続けないこともありますし、逆に下方向に更新し続けないこともあります。また、いったん下落しても再び上昇に転じたり、その逆にいったん上昇しても下落に転じたりすることがあります。このような値動きに遭遇すると惑わされてしまいます。

 

特に下降トレンドのなかで、一度反発するような値動きが発生したときについ買ってしまい、その後値下がりが続く場合があるため注意する必要があります。

 

[図表1]5月は終値で高値を更新し続け、6月には前日の終値を下回る陰線が続いた

 

[図表2]株価は上向きか、下向きか、横ばい(もみ合い、レンジ)かの3パターンしかない

ど素人が読める 株価チャートの本

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福永 博之

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