今回は、株価を動かす要因になる「トレンド」の発生理由を探っていきましょう。※本連載は、IFTA国際検定テクニカルアナリストとして活躍する福永博之氏の著書、『ど素人が読める株価チャートの本』(翔泳社)の中から一部を抜粋し、「テクニカル分析」の基礎知識と分析方法を紹介します。

「良いニュース」「悪いニュース」が続くと…

慎重な人や、あるいはテクニカル分析にまだ疑問を持っている人は、トレンドの発生や売買タイミングをみても、果たして本当にそれが続くのだろうか、であるとか、過去そうなったからといって未来もそうなるとは限らないと考えると思います。

 

そこで、いくつかの例を挙げてみたいと思います。

 

最初の例はトレンド発生を示したものです。もっともわかりやすいのが、2012年12月16日に行われた衆議院選挙で、民主党から自民党に政権が交代してからの株価の上昇ではないでしょうか。

 

当時、自民党が選挙で圧勝しましたが、日経平均株価は9000円台で推移しており、一般的には、2015年6月に2万円台に回復し、2000年4月のITバブルの時の高値を更新して2万952円をつけるなどとは考えられていませんでした。

 

株価は2015年6月24日まで上昇を続ける結果となりましたが、これがいわゆる株価の上昇トレンドです。トレンドが発生する理由にはいくつかありますが、たとえば、上昇トレンドが発生する場合、良いニュース(増益継続、新製品の発表、特許出願・取得、月次好成績、提携、株主移動、国の政策、好天など)が挙げられます。

 

一方、下降トレンドが発生する場合、悪いニュース(業績悪化、不祥事、特許切れ、月次悪化、提携解消、株主移動、国の政策、天候不順など)がその理由として挙げられます

投資家に「ニュースが伝わる時期」がトレンドを生む

以上のことからトレンドが発生する理由として、良いニュースであれ、悪いニュースであれ、投資家全体に情報が広がるまでの時間の違いなどが考えられます。また、情報を手に入れても、その時の判断が投資行動に結びつかず、遅れて行動を起こす場合もあります。

 

こうした情報入手のタイミングの違いや、投資行動を起こす時期の違いから、上昇が続いたり、下落が続いたりといったトレンドが発生するのではないかと筆者は考えています。そのため、日々の株価をみることがとても重要になるのです。

 

[図表]良いニュースが上昇トレンドを生む背景

ど素人が読める 株価チャートの本

ど素人が読める 株価チャートの本

福永 博之

翔泳社

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