2022年3月分機械受注 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

3月分機械受注(除船電民需)前月比+7.1%の増加。増加は3ヵ月ぶり

 

製造業・前月比+7.1%と3ヵ月ぶり増加、非製造業・前月比+11.0%と3ヵ月ぶり増加

 

3ヵ月移動平均2ヵ月連続減少等で「持ち直しの動きに足踏みがみられる」の判断継続

 

4~6月期見通し前期比▲8.1%。4~6月の各月・前月比▲4.7%で達成

 

 

●3月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+7.1%。3ヵ月ぶりの増加になった。但し、3ヵ月移動平均は前月比▲1.8%と2ヵ月連続の減少になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+7.6%で12ヵ月連続の増加になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回2月分では該当はなかったが、今回3月分では、製造業の非鉄金属で3件(その他重電機1件、原子力原動機2件)あった。非鉄金属の前月比は+72.0%になった。

 

●3月分製造業の前月比は+7.1%と3ヵ月ぶりの増加になった。3月分の製造業では17業種中、12業種で増加し、減少は5業種だった。原子力原動機、「その他重電機」などの非鉄金属、電子計算機等、建設機械などのはん用・生産用機械などが増加に寄与したが、電子応用装置、電子計算機等の電気機械、電気計測器、電子計算機等の情報通信機械などが減少に寄与した。

 

●3月分非製造業(除船電民需)の前月比は+11.0%と3ヵ月ぶりの増加になった。2月分では大型案件が2件(原子力原動機1件、火水力原動機1件)だった電力業は、3月分では火水力原動機1件、原子力原動機1件の計2件であった。電力業の前月比は▲45.5%と2ヵ月ぶりの減少となった。電力業の減少率が大きかったため3月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比▲2.4%と3ヵ月連続の減少になった。非製造業12業種中、10業種が増加で2業種が減少となった。電子計算機等、運搬機械などの金融業・保険業などが増加に寄与した。一方、電気計測器、「その他重電機」などの「その他非製造業」と電力業が減少に寄与した。

 

●大型案件は、前回2月分は全体で3件。電力業の2件の他に、官公需の国家公務で1件(船舶1件)であった。今回3月分は年度末ということもあって全体で24件。民需は5件(前述の非鉄金属3件と電力業の2件)であった。官公需は15件で、内訳は防衛省12件(航空機10件、船舶2件)、国家公務で1件〔船舶1件〕)、地方公務で1件(化学機械1件)、その他官公需で1件(その他産業機械1件)であった。また、外需が4件(鉄道車両1件、火水力原動機3件)あった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は3月分前月比+22.9%と2ヵ月ぶりの増加となった。前年同月比は+6.1%と2ヵ月ぶりの増加になった。

 

●外需は、3月分の前月比が▲14.2%と2ヵ月連続の減少になった。前年同月比は+26.7%で2ヵ月ぶりの増加になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、21年5月分で「持ち直しの動きがみられる」に上方修正され、6月分に続き7月分でも据え置きとなっていた。しかし、8月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が下方修正された。9月分・10月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が据え置かれた。11月分では「持ち直しの動きがみられる」に、さらに12月分では「持ち直している」に上方修正され、22年1月分では判断据え置きとなっていた。しかし、前回2月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が下方修正され、今回3月分でも前月比は増加に転じたものの、3ヵ月移動平均の前月比がまだ減少であることなどから、判断据え置きになったようだ。

 

●機械受注(除船電民需)1~3月期の前期比見通しは▲0.5%だったが、新型コロナウイルス感染拡大・第6波などで、企業が設備投資に慎重になったようで、実績は▲3.6%と下方修正された。

 

●機械受注(除船電民需)4~6月期の前期比見通しは▲8.1%になった。ウクライナ情勢、それに影響を受けた原材料高に加え、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた上海のロックダウンなどから、企業が設備投資に慎重になっているとみられる。4~6月期の前期比実績は09年(平成21年)から21年までの13年間でみると、上振れ5回、下振れ8回であり、若干下振れしやすい傾向がある四半期である。22年(令和4年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率87.4%をかけたものである。4~6月期の前期比見通しの▲8.1%を達成するためには、4~6月の各月の前月比が▲4.7%で大丈夫だ。見通しの算出に使った達成率がかなり低いこともあり、実績が上振れる可能性の方が大きそうに思われる。万一、4~6月の各月の前月比が0.0%なら4~6月期の前期比は+1.1%と増加になる。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、21年10月53.6(回答した景気ウォッチャー・7人)、11月40.0(同5人)、12月46.9(同8人)、22年1月33.3(同3人)、2月64.3(同7人)、3月43.8(同8人)、4月37.5(同4人)と推移している。4月では「客先の設備投資意欲は衰えていないが、機器生産においては半導体不足により原材料が値上がりする一方、販売価格への転嫁はこれからなので、適正利益の獲得や維持には当分時間が掛かる。(東海:電気機械器具製造業〔総務担当〕)」というコメントがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは21年10月52.8(回答した景気ウォッチャー・9人)、11月57.1(同7人)、12月60.0(同5人)と4ヵ月連続の50超になった。その後、22年1月37.5(同8人)、2月は66.7(同3人)、3月は37.5(同6人)、4月25.0(同2人)と推移している。3月では「円安下での原油、原材料価格の高騰、輸入品を中心とした物流の混乱により、スタグフレーションが更に進行する懸念が強い。業務上不可欠な資材に調達の遅れがみられ、必要性が高い設備投資にも着工の遅れが出ている。資材の先行調達や要員確保など、BCPを強く意識した運営が必要である。(南関東・ゴルフ場〔経理担当〕)」というコメントがあった。

 

●日本工作機械工業会によると、22年4月分速報値の工作機械の国内向け受注額の前年同月比は+47.5%と、21年3月分+18.2%、4月分+70.6%、5月分+82.6%、6月分+91.1%、7月分+82.9%、8月分+93.2%、9月分+90.2%、10月分+74.1%、11月分+84.9%、12月分+60.8%、22年1月分+67.3%、2月分+60.4%、3月分+48.8%に続き、14ヵ月連続の増加になった。前年同月比はやや鈍化したものの、国内向け工作機械受注・前年同月比は増加傾向にあることが示唆される。機械受注統計での民需からの工作機械受注も前年同月比2ケタ増加の動きになっている。22年3月分の前年同月比+44.4%と、21年3月分+17.0%、4月分+71.4%、5月分+85.6%、6月分+77.2%、7月分+84.8%、8月分+91.4%、9月分+80.1%、10月分+63.5%、11月分+90.7%、12月分前年同月比+67.8%、22年1月分前年同月比+59.4%、2月分+55.6%に続き13ヵ月連続の増加である。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年3月分機械受注』を参照)。

 

(2022年5月19日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

    旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
    パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
    著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

    著者紹介

    連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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