2022年1~3月期実質GDP(第1次速報値)について (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

1~3月期実質GDP成長率前期比年率▲1.0%、2四半期ぶりマイナス成長

 

個人消費は重点措置発令で前期比微減に。輸入の大幅増がマイナスの主因

 

3年ぶりコロナ行動制限なしのGWなどで、4~6月期個人消費は高い前期比に

 

 

●1~3月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比▲0.2%、前期比年率▲1.0%と2四半期ぶりのマイナス成長になった。一方、1~3月期第1次速報値の名目GDP成長率は前期比+0.1%、前期比年率+0.4%と2四半期連続のプラス成長である。

 

●22年1~3月期名目GDPの季節調整値は541.53兆円で直近のボトムだった20年4~6月期の512.38兆円と比較すると29.15兆円高い水準だが、直近のピークだった20年10~12月期の546.40兆円からは4.87兆円低い水準になった。またコロナ前のピークだった19年4~6月期の562.55兆円からは21.02兆円低い水準になった。また、実質GDPの季節調整値は、22年1~3月期537.92兆円である。新型コロナの感染者が初めて出た四半期である20年1~3月期の544.57兆円と比較すると6.65兆円低い水準である。

 

●ESPフォーキャスト調査5月調査(回答期間:4月28日~5月11日)では、1~3月期の実質GDP成長率の平均予測値は前期比年率▲1.36%だった。実際はこれより小幅な減少率になった。ESPフォーキャスト調査では、コロナの行動制限がなくなった4~6月期の実質GDP成長率の平均予測値は前期比年率+5.18%と高い伸び率を予測している。個人消費が前期比+1.71%のプラスの伸び率になることが主因である。

 

●1~3月期はまん延防止等重点措置発令の影響などで消費活動が抑制された四半期だったが、実質個人消費は前期比で▲0.0%の微減にとどまった。実質家計最終消費支出の前期比は▲0.1%の減少だった。

 

●実質国内家計最終消費支出の前期比は▲0.1%の減少である。その内訳をみると、耐久財の前期比は▲1.6%と2四半期ぶりの減少になった。半耐久財の前期比は▲1.8%と2四半期ぶりの減少に転じた。サービスの前期比は▲0.2%で4四半期ぶりの減少に転じた。増加だったのは非耐久財で、前期比は+1.0%と10~12月期が前期比▲0.9%だった反動もあり、2四半期ぶりの増加に転じた。なお、実質雇用者報酬は前期比▲0.4%と2四半期ぶりの減少に転じた。

 

●実質住宅投資は前期比▲1.1%の減少と3四半期連続の減少になった。

 

●設備投資は前期比+0.5%の増加と2四半期連続の増加になった。名目の前期比(季節調整済み)は+1.1%と2四半期連続の増加である。なお、名目の前期比(原数値)は+15.7%と3四半期連続の増加である。名目の前年同期比は+4.1%と4四半期連続の増加になった。

 

●供給サイドのデータに基づいて算出した、1~3月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+7.1%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+32.2%であると公表された。法人企業統計が出た時に前年同期比が+7.7%程度より高いかどうか比較することで、1~3月期実質GDP成長率・第2次速報値での設備投資予測の参考となろう。

 

●民間在庫変動の実質・前期比寄与度は+0.2%だった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫は前期比寄与度▲0.0%、流通品在庫は前期比寄与度+0.2%であった。また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は▲0.0%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同0.0%だった。

 

●実質政府最終消費支出は前期比+0.6%と2四半期ぶりの増加になった。また、実質公共投資は前期比▲3.6%と5四半期連続の減少になった。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.0%であった。1~3月期の公的需要の前期比寄与度は▲0.1%だった。

 

●1~3月期の外需(純輸出)の前期比寄与度は▲0.4%と3四半期ぶりのマイナス寄与になった。実質輸出は前期比+1.1%と2四半期連続の増加になった。財は前期比+2.0%と2四半期連続の増加になった。サービスは前期比▲2.9%と2四半期連続の減少になった。実質輸入の前期比は+3.4%と2四半期連続の増加になった。財に関しては前期比+3.6%と2四半期連続の増加になった。サービスは前期比+2.4%と3四半期ぶりの増加になった。

 

●1~3月期のGDPデフレーターの前年同期比は▲0.4%と5四半期連続の下落になった。一方、国内需要デフレーターの前年同期比は+1.8%と4四半期連続の上昇になった。控除項目の輸入のデフレーターがエネルギー価格の上昇などで前年同期比+32.3%と4四半期連続の2ケタの上昇となった影響が出ている。一方、1~3月期の季節調整済み前期比をみると、GDPデフレーターは+0.4%、国内需要デフレーターは+0.9%になった。

 

●「令和4年度の経済見通し」の22年度実質GDP成長率見通し・前年度比+3.2%を達成するには、22年度各四半期で前期比年率+4.8%(前期比+1.18%)が必要で、達成は難しそうである。21年度から22年度へのゲタは+0.2%である。なお、22年度各四半期が前期比0.0%だと22年度実質GDP成長率・前年度比は+0.2%に、前期比+0.9%だと22年度実質GDP成長率・前年度比は+2.4%になる。

 

 

●また、6月8日公表予定の1~3月期第2次速報値では、6月1日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や民間在庫変動が改定される。

 

●法人企業統計では民間在庫変動の伸び率は名目の前年同期比で発表される。GDPの第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.3%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目全てプラス寄与で、大きな方から流通在庫、製品在庫、仕掛品在庫、原材料在庫の順になっているということだ。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年1~3月期実質GDP(第1次速報値)について』を参照)。

 

(2022年5月18日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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