2022年3月分景気動向指数(速報値) (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CI前月差+0.9で3ヵ月ぶりの上昇、一致CI+0.2で2ヵ月連続の上昇

 

3月分一致CIの3ヵ月移動平均5ヵ月連続上昇、2ヵ月連続で「改善」の判断


 

 

 

●3月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+0.9と3ヵ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、新規求人数、新設住宅着工床面積、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列が前月差プラス寄与度に、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、消費者態度指数、マネーストック、東証株価指数の4系列が前月差マイナスに寄与度になった。

 

●3月分の一致CIは前月差+0.2と2ヵ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、有効求人倍率の5系列が前月差プラス寄与度に、輸出数量指数が前月差寄与度ゼロに、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・卸売業の2系列が前月差マイナス寄与度になった。

 

●最近の一致CIを使った景気の基調判断をみると、21年1月分で「上方への局面変化」に上方修正され、2月分では判断が据え置かれた。3月分で景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に上方修正され、4月分~8月分と「改善」の判断は据え置きになっていたが、9月分では「足踏みを示している」に下方修正され、10月分~22年2月分速報値では「足踏みを示している」の判断が継続となった。しかし、生産・出荷関連データの年間補正などがあった2月分改定値では「改善」に戻るための、「3ヵ月以上連続して、3ヵ月後方移動平均が上昇、かつ当月の前月差の符号がプラス」という条件を満たした。

 

●今回3月分でも「改善」の判断が継続となった。3月分の3ヵ月後方移動平均は前月差+0.03と5ヵ月連続の上昇になった。かつ前月差はプラスになった。再び「足踏みを示している」に下方修正になるための「3ヵ月後方移動平均の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累積)が1標準偏差以上、かつ当月の前月差の符号がマイナス」という条件は満たさなかった。

 

●3月分の先行DIは33.3%と2ヵ月連続で景気判断の分岐点の50%を下回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、新規求人数、新設住宅着工床面積、日経商品指数の3系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、消費者態度指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列がマイナス符号になった。

 

 

●3月分の一致DIは25.0%程度と2ヵ月連続で景気判断の分岐点の50%を下回った。速報値からデータが利用可能な8系列中、有効求人倍率、輸出数量指数の2系列がプラス符号に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の6系列がマイナス符号になった。

 

●5月25日発表予定の3月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は5月19日である。また在庫率関連データが5月18日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。実質機械受注(製造業)の前月差寄与度が+0.1程度とみて、先行CIは速報値の+0.9から+1.0程度に上方修正されると予測した。先行DIは実質機械受注(製造業)がマイナス符号で加わることになり、残りの符号が不変だとすれば、速報値の33.3%から30.0%に下方修正されると予測する。

 

●3月分景気動向指数・改訂値で、一致CIに労働投入量指数が加わる。労働投入量指数は、雇用者数(非農林業)と総実労働時間指数(調査産業計)の2つの系列を掛け合わせて作られている。内訳をみると、雇用者数(非農林業)は労働力調査のデータで前月比+0.6%の増加であることが判明している。一方、毎月勤労統計・速報値の総実労働時間指数(調査産業計)は前月比+1.8%の増加である。また、3月分確報値は5月22日に発表されるため、3月の一致CI改定値では確報値が使われる。また、生産指数関連データは5月18日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データが同じく5月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。労働投入量指数の前月差寄与度が+0.3程度とみて、一致CIは速報値の+0.2から+0.4程度に上方修正されると予測した。3月分の一致DIは速報値で25.0%だったが、新たに加わる労働投入量指数の符号は微妙だがマイナスになるとみられるので、他の採用系列の符号が変わらないとすると、改定値は22.2%に下方修正されるとみられる。

 

●4月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。4系列全てが前月差プラスである。

 

●また、4月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列では、中小企業売上げ見通しDI1系列がプラス符号に、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列がマイナス符号になることが判明している。4月分速報値段階の先行DIは11.1%以上66.7%以下になることが確定している。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年3月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

(2022年5月11日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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