(※写真はイメージです/PIXTA)

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2022年4月のレビュー

2022年4月は3月に続き、米国の金利が大幅に上昇しました。10年国債利回りは、4月単月で0.57%の上昇となり、3月の0.49%を上回りました。株式市場は調整し、「金融相場の巻き戻し」の1ヵ月でした。

 

年初からの4ヵ月間で、10年金利は1.97%の上昇、S&P500は13.3%の下落となっています。データの取れる1964年からの過去58年間を見ると、4ヵ月間(月次のローリング)で10年金利が1.8%超、株価が10%超下落したのは、今回を含め、過去3回しかありません。

 

ほかの2回は、1981年9月と1982年3月で、ボルカーFRB議長(当時)による新金融調整方式で景気後退に入っている最中でした。

 

おもな出来事は次のとおりです(→5月6日まで、出所:日本経済新聞などの国内メディア)。

 

・国際エネルギー機関(IEA)が加盟国による石油備蓄の放出を決定(→放出期間を6ヵ月と想定すると、米国の既発表分を含め、日量130万バレルの供給となる。ウクライナ侵攻前のロシアの生産は日量500万バレル)
・イエメンの内戦で2ヵ月間の停戦合意(サウジアラビア率いるアラブ有志連合とシーア派の武装勢力フーシ派の間で)
・ウクライナ政府がロシアによる黒海の港封鎖で3月の穀物輸出量が前月の1/4に減少したと表明
・ハンガリーでオルバン首相率いる右派の与党が勝利(ロシアとも近い関係)
・トルコの3月のCPIインフレ率が前年同月比+61%(→日本と並び金融緩和を続けるまれな国)
・国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ1.5度以内に抑える目標を達成するための方策を公表(→遅くとも2025年には温暖化ガスの排出量を減少させる必要があるなど)
・米軍のミリー統合参謀本部議長が下院の公聴会でウクライナ危機について「少なくとも数年単位になる」と証言
・英政府がエネルギーの安定供給に向けた中長期計画を公表(→2030年までに原子炉を最大8基建設するなど)
・欧州連合(EU)加盟国がロシア産の石炭の輸入停止を含む制裁案を承認
・国連総会が国連人権理事会におけるロシアの理事国資格を停止する決議を賛成多数で可決
・中国の上海や北京の一部などで新型コロナウイルス拡大のためのロックダウンが実施された
・米国の3月のCPIインフレ率前年同月比+8.5%およびPCEインフレ率は+6.6%
・スリランカが外貨準備の急減で債務支払いの一時停止を表明
・米中央情報局(CIA)のバーンズ長官が講演でロシアが核兵器を使う可能性について「軽視できない」と言及
・米国の30年固定金利が11年2ヵ月ぶりに5%台に
・中国が預金準備率の引き下げを発表、中国の1~3月期の実質GDP成長率が前年同期比+4.8%(→4~6月期はさらに鈍化する可能性あり)
・国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを公表(→2022年の世界経済は実質+3.6%と、1月時点から0.8ポイント引き下げ)
・日本の3月のCPIインフレ率前年同月比+0.8%
・フランスでマクロン大統領が再選、米ツイッター社がイーロン・マスク氏による買収提案の受け入れを表明
・ロシアがポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止
・プーチン大統領がウクライナの軍事作戦に介入する国に対して「電光石火の対抗措置を受けることになる」と演説
・米国の1~3月期の実質GDP成長率が前期比年率マイナス1.4%(→消費と設備投資は堅調で、純輸出がマイナス寄与)
・ユーロ圏の1~3月期の実質GDP成長率が前期比+0.2%
・ユーロ圏の4月のインフレ率速報値+7.5%
・米国の4月の雇用統計+42.8万人および失業率3.6%

 

などが挙げられます。

 

おもな中央銀行の金融政策は次のとおりです。

 

・FRBが0.5%の利上げと量的引き締めの開始を決定
・ECBが量的金融緩和を「7~9月期にも終える見通しが強まった」と声明
・日銀が指値オペを毎日実施することを表明
・ポーランド、ペルー、ウルグアイ、イスラエル、ニュージーランド、カナダ、南アフリカ、ハンガリー、スウェーデン、コロンビア、オーストラリア、アイスランド、ブラジル、チェコ、ポーランド、英国、チリなどが利上げ。シンガポールが引き締め。

 

[図表7]S&P500および米国10年債利回り
[図表7]S&P500および米国10年債利回り

 

[図表8]米国債イールドカーブ
[図表8]米国債イールドカーブ

 

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重見 吉徳

フィデリティ投信株式会社

マクロストラテジスト

 

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