衝撃…老眼になれば「ほぼ白内障も始まっている」という事実【眼科医か解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

以前は「老眼と白内障はまったく無関係のもの」と考えられていましたが、加齢性白内障と老眼に限っていえば、「どちらも水晶体の40歳以上の老化という生理現象に基づくもので、関係が深い」ということが分かってきました。鈴木眼科グループ代表・鈴木高佳医師が解説します。

老眼になれば、加齢性白内障もほぼ始まっている

■老眼も加齢性白内障も、40歳以上で起こる「水晶体の老化」に基づく変化

水晶体は酸化(老化の一因)が進んで老化すると、主に2つの症状となって目の機能を低下させます。

 

1つは水晶体や毛様体筋が柔軟性を失って硬くなり、ピント調節がうまくできなくなる老眼です。

 

もう1つは水晶体が白く茶色く濁り、ものがダブって見えたりかすんだりする白内障です。白内障は外傷や先天的要因によっても起こり得る目の病気ですが、そのほとんどは40~50歳代から始まる「加齢性白内障」とされています。

 

光は角膜から目に入り、瞳孔(虹彩によって形作られる)、水晶体、硝子体と通り抜けて、いちばん奥の網膜で像を結ぶ。
[図表1]目の構造 光は角膜から目に入り、瞳孔(虹彩によって形作られる)、水晶体、硝子体と通り抜けて、いちばん奥の網膜で像を結ぶ。

 

老眼と加齢性白内障はどちらがどの程度の早さで進行するかは個人差がありますが、老眼は早い人で30歳代後半から始まり、50歳前後でほとんどの人が自覚症状を感じます。

 

図表2は、加齢によって水晶体のピント調節力が低下することを示したグラフです。

 

出典:『専門医のための眼科診療クオリファイ①屈折異常と眼鏡矯正』 編集:大鹿哲郎
[図表2]年齢・調節力曲線 出典:『専門医のための眼科診療クオリファイ①屈折異常と眼鏡矯正』
編集:大鹿哲郎

 

これを見ると、ピント調節力は10歳のときからすでに衰え始めていることが分かります。しかし実際には、3D(ディオプター)程度の調整力があれば日常で「目のピントが合わないな」「ぼやけて見えるな」などとはっきり感じることはめったにありません。実際に少し自覚が出てくるのは4Dを下回った頃からであり、すなわちそれが老眼の始まりです。

老眼を自覚するタイミングは?

老眼を自覚する時期は、正視や乱視の人なら45歳頃からが一般的です(図表2)。

 

もともと遠視の人の場合は、比較的早くに老眼に気づくでしょう。症状も40歳前後で始まることが多いといわれます。

 

近視の場合は、自覚するのが遅くなるかもしれません。老眼は一般的に、手元など近い距離が見えづらくなることから始まります。近視の人は、正視や遠視の人に比べて調節力を使わなくても近くがよく見えるため、老眼が始まったことに気づかないケースが多いのです。

 

ただし日頃からメガネやコンタクトレンズで近視を矯正している場合は、「裸眼のほうが近くを見やすい」と感じて老眼を自覚します。

 

老眼の症状には、次のようなものがあります。

 

<老眼に気づきやすい諸症状>

●気がつくと新聞や本、スマートフォンなどを目から遠ざけて見ている

●食品や洗剤などの裏に書かれている細かい文字の成分表示が読めない

●スマートフォンのフォントサイズ(文字のサイズ)を大きくしている

●メガネやコンタクトレンズをはずしたほうが近くのものを見やすい

●メイクやヒゲ剃りのとき、鏡の中の自分がはっきり見えない

●手芸など細かい手仕事が見づらくなった

●近くから遠く、遠くから近くへ視線を転じると焦点が合うまで時間がかかる

●薄暗い場所で字が読みにくい

●明るいところから暗いところへ行くと、なかなか見えるようにならない

●眼精疲労で頭痛、肩凝り、食欲不振、吐き気などが起きるようになった

 

40~50歳で老眼に気づいたあとは、誰でも70歳頃まで確実に進行していきます。人によって感じ方としてはしばらく同じ見え方の期間が続き、ある時期から急激に進行することもあります。

 

いずれにしても、見えにくくなった状態のまま放置したり我慢したりしていると、目の負担が大きくなって疲労がたまって、ますます症状が悪化することになります。

 

■「見えにくくて当然」になった結果、白内障の進行に気が付かない人も多数

老眼が始まったら、少なくとも3年ごとに眼科を受診し、目に合った度数のメガネやコンタクトレンズに作り替えることが推奨されてきました。

 

最初の頃は視覚の違和感に慣れず、見えにくさを感じるたびにメガネやコンタクトレンズを買い替えてきちんと対応する人も多いのですが、だんだんに見えにくい状態が当たり前となり、目に合わない度数のものを使い続ける人が増えていくのです。

 

そういう人は白内障が進行し、視界が白くかすむ、ものがダブって見えるなどの症状が現れるようになって眼科を訪れるケースがよくあります。あるいは運転免許の更新へ行って視力検査に引っ掛かり、急いで受診する人も少なくありません。一方の加齢性白内障も、早い人で40歳代から発症します。自覚症状が出るのは60歳代後半以降がほとんどですが、過去に行われた調査では、50歳代で37~54%、60歳代で66~83%、70歳代で84~97%、そして80歳代では100%の人が白内障を発症していることが報告されています(2002年発行『科学的根拠〈evidence〉に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究』より)。

 

以前は「老眼と白内障はまったく無関係のもの」と考えられていましたが、前述のように加齢性白内障と老眼に限っていえば、「どちらも水晶体の40歳以上の老化という生理現象に基づくもので、関係が深い」ということが分かってきたのです。

 

 

鈴木 高佳

鈴木眼科グループ代表

 

鈴木眼科グループ代表

神奈川県逗子市出身。栄光学園中学校・高等学校卒、1994年日本医科大学卒。日本医科大学付属第一病院にて麻酔科研修後、横浜市立大学医学部付属病院眼科に所属する。この間、同大学病院、函館の藤岡眼科病院、小田原の佐伯眼科クリニックへの勤務を通して白内障手術をはじめ眼科一般の経験を積む。

2002年より東京歯科大学市川総合病院眼科にて角膜疾患の診断・治療に携わる。また同年、日本国内での多焦点眼内レンズの厚生労働省治験を行った、東京歯科大学水道橋病院眼科のビッセン宮島弘子教授の助手として同眼科に勤務し、2006年3月まで、手術、診療、臨床研究に従事。同大学ではほかに、レーシックをはじめとする屈折矯正手術と日帰り白内障手術を専門に行う。

2006年国際親善総合病院眼科部長に就任。網膜硝子体疾患に対し手術および内科的治療(光線力学療法、抗血管内皮増殖因子硝子体注射療法など)を導入し、多数の患者の診断と治療を担当。

2010年4月、神奈川県横浜市のJR戸塚駅前に戸塚駅前鈴木眼科を開院。現在は同クリニックの理事長を務めるほか、同クリニックをはじめ県下に計4カ所のクリニックから成る鈴木眼科グループの代表を務める。

著者紹介

連載老眼・近視・乱視の悩みを解決!多焦点眼内レンズで叶える「生涯裸眼生活」

※本連載は、鈴木高佳氏の著書『メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門

メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門

鈴木 高佳

幻冬舎MC

鈴木眼科グループ代表の鈴木高佳氏が老眼・近視・乱視・白内障の悩みを老眼鏡なしで解決する多焦点眼内レンズについて解説します。

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