極めてまれだが…「白内障手術後」に起こりうる“リスク”【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「多焦点眼内レンズ」とは、主に白内障手術の際、濁った水晶体の代わりに目の中に入れる人工の眼内レンズの一つです。近視や遠視、乱視や老眼なども改善できることから、近年では白内障手術だけではなく、老眼治療にも使われるようになりました。ここでは鈴木眼科グループの鈴木高佳氏が、多焦点眼内レンズの手術後に起こりうる合併症について解説します。

「合併症」とは?

合併症とは、一つの病気にかかっているとき、または一つの手術のときに起こりうる病気や症状のことです。一過性ですぐに治るものもあれば、治療が難しいものもあります。

 

多焦点眼内レンズ手術も通常の白内障手術も、合併症が起きるケースは極めてまれです。しかしもちろん、どんな手術も合併症の可能性がゼロというわけではありません。

 

確率の高低にかかわらず、起こりうるリスクの存在を知っておくことも大切です。術後に異変や違和感を覚えたら、以下を参考にしてください。

手術後に起こりうる合併症や諸症状

■感染症(感染性術後眼内炎)

多焦点眼内レンズ手術や白内障手術で、最も注意しなければならない合併症が感染性術後眼内炎です。細菌が眼内に入って増殖し、目の組織を壊してしまう危険な感染症です。治療が遅れると最悪の場合、失明に至る可能性もあります。

 

発症率は現在ではとても低いのですが、起きてしまう場合は手術から1週間以内に発症することが多く、初期には「視力が下がった気がする」「目がかすんでいる」「目が痛い」といった症状が現れます。

 

■嚢胞様黄斑浮腫(のうほうようおうはんふしゅ)

網膜の「黄斑」という部分にむくみや腫れが生じ、手術直後はよく見えていた目があとになって見えにくくなります。術後の早い時期から2~3ヵ月後まで発症する可能性がありますが、痛みは感じないので、自分ではなかなか気がつきにくいのが特徴です。

 

手術後、医師に処方された抗炎症剤の目薬を途中で使わなくなったり、早くにアルコールを飲み始めたりすることも原因の一つに挙げられます。予防のためにも、目薬の点眼は医師のOKが出るまで必ず続けてください。

 

■眼内レンズの偏位・脱臼

手術から何年も経ったあと、チン小帯が弱くなったことなどが原因で眼内レンズの位置がずれたり(偏位)、眼内レンズが硝子体に落ちたり(脱臼)する場合がまれにあります。ずれると身体の向きによって見え方が変わり、脱臼したときは急に視力が落ちる、まったく見えなくなるなどの症状が起きます。治療は再手術が最もリスクが低く確実です。

 

■飛蚊(ひぶん)症

飛蚊症は病気の名前ではなく、目の前に黒い虫や糸くずなどが浮遊しているように見える症状を指します。多焦点眼内レンズ手術も含む白内障手術のあとに発症することもありますが、心配する必要がないものとあるものとに分かれます。

 

数日で症状が治まれば、手術の一時的な炎症などが原因なので心配ありません。症状がしばらく治まらないような場合でも、もともとあった飛蚊症に手術前にはずっと気がつかず、手術で視界がクリアになったせいで自覚されるだけで、心配の必要がなく、やがて気にならなくなる場合がほとんどです。

 

ただし、なかには出血や網膜剥離が原因で起きる場合もまれにありますので注意が必要です。症状が続くようなら、我慢せずに医師や看護師、検査スタッフに伝えて、早めに検査を受けることをおすすめします。

 

■後発白内障

後発白内障は、多焦点または単焦点のいずれの場合でも、眼内レンズ手術が問題なく終わったにもかかわらず、数ヵ月から数年が経ったあと、水晶体嚢の後面(後嚢)に白い濁りが生ずることによって起こるもので、症状として視力低下や、目のかすみなどがあります。

 

手術後に定期検診を受けていれば早期に発見できるのですが、濁りが視力に影響するほど進んでしまったらレーザーで治療することになります。後嚢に小さな窓を開け、濁りを取り除く手術です。手術が自費診療である多焦点眼内レンズの場合でも、単焦点眼内レンズ同様に、保険診療で受けることができるので、自己負担額も少ないです。

 

一度レーザーで回復できれば、基本的に再発することはありません。また自覚症状がなければ、そのまま経過観察を続けることもあります。

 

■ドライアイ

涙の分泌量が減ったり、量は十分でも質が低下したりして、目の表面を潤す力が衰えた状態を「ドライアイ」といいます。

 

原因は、加齢による涙の分泌量の減少や質の低下、乾燥した部屋でパソコン作業を長時間行うなどの生活習慣、膠原(こうげん)病などの病気とさまざまに考えられますが、多焦点眼内レンズ手術や通常の単焦点眼内レンズによる白内障手術のあとも、一時的にドライアイが強くなることがあります。

 

手術後に「目が疲れやすい」「目の中がゴロゴロする」などの症状が起きたときは、ドライアイを治療することで改善できる可能性があります。

 

ドライアイは症状が軽ければ、目薬で緩和させることができます。それでも改善が見られない場合は、涙の出口である「涙点」に栓をして排出を妨げるような治療を行うこともあります。もし目の疲れや異物感が長く続いて消えないようなら、受診して検査を受けてみることをおすすめします。

 

手術後のドライアイは見え方にも影響しますので、早く見え方が安定するように、私たちのクリニックでは、手術後1ヵ月目からしばらくの間、ドライアイの目薬を点眼していただいています。

 

 

鈴木 高佳

鈴木眼科グループ代表

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鈴木眼科グループ代表

神奈川県逗子市出身。栄光学園中学校・高等学校卒、1994年日本医科大学卒。日本医科大学付属第一病院にて麻酔科研修後、横浜市立大学医学部付属病院眼科に所属する。この間、同大学病院、函館の藤岡眼科病院、小田原の佐伯眼科クリニックへの勤務を通して白内障手術をはじめ眼科一般の経験を積む。

2002年より東京歯科大学市川総合病院眼科にて角膜疾患の診断・治療に携わる。また同年、日本国内での多焦点眼内レンズの厚生労働省治験を行った、東京歯科大学水道橋病院眼科のビッセン宮島弘子教授の助手として同眼科に勤務し、2006年3月まで、手術、診療、臨床研究に従事。同大学ではほかに、レーシックをはじめとする屈折矯正手術と日帰り白内障手術を専門に行う。

2006年国際親善総合病院眼科部長に就任。網膜硝子体疾患に対し手術および内科的治療(光線力学療法、抗血管内皮増殖因子硝子体注射療法など)を導入し、多数の患者の診断と治療を担当。

2010年4月、神奈川県横浜市のJR戸塚駅前に戸塚駅前鈴木眼科を開院。現在は同クリニックの理事長を務めるほか、同クリニックをはじめ県下に計4カ所のクリニックから成る鈴木眼科グループの代表を務める。

著者紹介

連載老眼・近視・乱視の悩みを解決!多焦点眼内レンズで叶える「生涯裸眼生活」

※本連載は、鈴木高佳氏の著書『メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門

メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門

鈴木 高佳

幻冬舎MC

鈴木眼科グループ代表の鈴木高佳氏が老眼・近視・乱視・白内障の悩みを老眼鏡なしで解決する多焦点眼内レンズについて解説します。

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