突然の「強い目の痛み・吐き気・頭痛」は失明リスク大…眼科医が伝えたい「予防策」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「多焦点眼内レンズ」とは、主に白内障手術の際に使われ、濁った水晶体の代わりに入れる人工の眼内レンズの一つです。近視や遠視、乱視や老眼なども改善できることから、近年では白内障手術だけではなく、老眼治療にも使われるようになりました。また、単に見えやすくなるだけではなく、「水晶体に起こる病気」の心配がなくなる、という意外な利点も…。鈴木眼科グループの鈴木高佳氏が解説します。

多焦点眼内レンズ手術は「早めに受けておく」のが吉

多焦点眼内レンズ手術では、ピント調節力が衰えて老眼を招いている水晶体を取り除き、代わりに3つの焦点(ピント)をもつ高性能の多焦点眼内レンズを目に入れて近方、中間距離、遠方ともよく見える状態に修復します。したがって当然、水晶体に起きる病気の心配はなくなります。

 

水晶体に起きる病気は、数としてはそう多くありません。しかし、年齢を重ねると誰もが必ずかかる水晶体の病気が白内障です。

 

白内障が悪化して手術を受ける人が多いのは70歳前後ですが、実はほとんどの場合、自覚症状が現れるよりかなり前に発症しています。日常でふと「目がかすみやすくなったかな」とか「少しブレて見える気がする」と感じつつ、だんだんその見え方に慣れてしまい、放置しているうちに悪化するケースもままあります。

 

40歳代から始まり、十数年から数十年かけて進んでいきますので、自覚的にはあまり見えていないとは感じないかもしれませんが、実際には視機能が低下していますので、気づかないまま日常生活を送るのは危険です。

 

早い時期に多焦点眼内レンズ手術をしてしまえば、そのような不安定な時期を経験する心配もなくなります。老眼・近視・遠視・乱視治療を主な目的として行う多焦点眼内レンズ手術は白内障の根治手術そのものでもあり、当然ながら手術後は、生涯、白内障になることはもうないからです。

 

■緑内障は「日本人の失明原因」第1位の眼疾患

白内障以外にも、水晶体が主な原因で起こり得る病気には「狭隅角緑内障」「閉塞隅角緑内障」という種類の緑内障があります。ご存じの方も多いと思いますが、緑内障は日本の失明原因の第1位に上がっている深刻な眼疾患です。

 

なかでも危険を伴うのが「急性緑内障発作」という病態が起きる場合です。心筋梗塞や脳梗塞と同じように、ある日突然、なんの前触れもなく急激な発作が襲ってきます。閉塞隅角緑内障は、この激症型の急性緑内障発作を招きやすい眼疾患なのです。

 

急性発症の閉塞隅角緑内障、つまり急性緑内障発作は自覚症状もなく突然に起きる恐ろしい病気ですが、一般的にはほとんど知られていません。この機会に少し説明をさせてください。

急性緑内障発作はどうやって起こるのか?

眼球は、眼圧(がんあつ:目の中の圧力、目の硬さ)によって球形を維持しています。その眼圧は房水(ぼうすい:目の中を流れる水分、体液)が毛様体でつくられる量と、前房(ぜんぼう:角膜と虹彩の根元〈根部〉に挟まれた空間)から外へ流れ出る量が同じとき一定の正常値に保たれるのですが、前房が浅く、隅角が狭い人の場合、なんらかのきっかけでさらに狭くなると、房水をうまく排出できない状態になります。

 

このとき急激に眼圧が高まって正常値の2~3倍、場合によってはそれ以上になり、視神経が急激に傷害されてしまうのが急性の閉塞隅角緑内障、すなわち急性緑内障発作です。

 

このように隅角をさらに狭くしてしまうきっかけの一つには、実は白内障の進行も挙げられます。

 

白内障が進んでくると、水晶体は濁って硬くなるのみならず、厚みを増してふくらんで前方にせり出してきます。年齢に伴って、体積も重量もどんどん増えていくのです。そして、ふくらんで厚みの増した水晶体は虹彩の根元を後ろから圧迫し、隅角を狭くして房水が外へ抜けるのを妨げてしまうのです。

 

■失明を防ぐための措置は「緊急白内障手術」だが…

急性緑内障発作が起きると、強い目の痛みや頭痛、吐き気などが生じます。さらに怖いのは、時間が経過するほど失明の恐れが高くなることです。治療には緊急の措置が必要です。

 

その際、急性発作を解除するために緊急の白内障手術が行われます(以前は、レーザー治療が推奨されていましたが、このレーザーは合併症が多く、現在は緊急の白内障手術が選択されることが増えました)。水晶体を除去して薄い眼内レンズに交換すれば、前房が深くなり、隅角が広くなって房水の流れ道を確保できるからです。

 

ただし、このように不安定で危険な状態の患者さんに対して行う白内障手術は、当然のことながら、平常時の白内障手術のように万全の準備を整えるだけの時間的猶予がありません。

 

眼圧が高い時間が長ければ長いほど、手術で眼圧が下がったとしても、失われた視野の回復は不可能になってしまいます。また、手術中や術後に合併症が起こるリスクも、計画的に十分な準備をして行う通常の白内障手術と比べて、けた違いに高くなります。

「緊急手術」と「自分の意思で受ける手術」では大違い

本来なら白内障手術は、数週間前に精密な術前検査を行い、その結果によって使用する眼内レンズの種類や度数を決めます。しかし、激しい発作を起こしている状況下では正確な検査結果を得にくく、どうしても眼内レンズの度数の決定が不正確になりがちです。

 

さらにいえば、多焦点眼内レンズを用いるときに必要な検査項目は単焦点眼内レンズより多岐にわたるため、緊急手術の場合は、ほとんどのケースで選択の余地なく単焦点眼内レンズが使われます。

 

失明という、最悪の事態を防ぐために時間との闘いをしている渦中なので致し方ないことではありますが、失明はまぬがれても度数の合わない単焦点眼内レンズを入れた結果、ピントのずれた視界を生涯にわたって我慢しなければならないとしたら、それもまた残念なことというしかありません。

 

平常時であれば十分な安全域を確保してスムーズに行われる手術も、急性緑内障発作が起きている状況下では、合併症のリスクが高い難手術になってしまいます。

 

十分な準備と時間的余裕をもって行われる多焦点眼内レンズ手術は、安全・確実な白内障手術そのものです。平常時に受けておくことは、急性緑内障発作をほぼ完全な形で予防することにつながります。生涯、緑内障発作とは無縁の生活を安心して過ごせるようになるわけですから、これも早めの多焦点眼内レンズ手術の大きなメリットの一つといえます。

 

 

鈴木 高佳

鈴木眼科グループ代表

 

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鈴木眼科グループ代表

神奈川県逗子市出身。栄光学園中学校・高等学校卒、1994年日本医科大学卒。日本医科大学付属第一病院にて麻酔科研修後、横浜市立大学医学部付属病院眼科に所属する。この間、同大学病院、函館の藤岡眼科病院、小田原の佐伯眼科クリニックへの勤務を通して白内障手術をはじめ眼科一般の経験を積む。

2002年より東京歯科大学市川総合病院眼科にて角膜疾患の診断・治療に携わる。また同年、日本国内での多焦点眼内レンズの厚生労働省治験を行った、東京歯科大学水道橋病院眼科のビッセン宮島弘子教授の助手として同眼科に勤務し、2006年3月まで、手術、診療、臨床研究に従事。同大学ではほかに、レーシックをはじめとする屈折矯正手術と日帰り白内障手術を専門に行う。

2006年国際親善総合病院眼科部長に就任。網膜硝子体疾患に対し手術および内科的治療(光線力学療法、抗血管内皮増殖因子硝子体注射療法など)を導入し、多数の患者の診断と治療を担当。

2010年4月、神奈川県横浜市のJR戸塚駅前に戸塚駅前鈴木眼科を開院。現在は同クリニックの理事長を務めるほか、同クリニックをはじめ県下に計4カ所のクリニックから成る鈴木眼科グループの代表を務める。

著者紹介

連載老眼・近視・乱視の悩みを解決!多焦点眼内レンズで叶える「生涯裸眼生活」

メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門

メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門

鈴木 高佳

幻冬舎MC

鈴木眼科グループ代表の鈴木高佳氏が老眼・近視・乱視・白内障の悩みを老眼鏡なしで解決する多焦点眼内レンズについて解説します。

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