「老眼じゃないと手術できない」?近視や乱視も治せる「多焦点眼内レンズ手術」の疑問【眼科医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「多焦点眼内レンズ」とは、主に白内障手術の際に使われ、濁った水晶体の代わりに入れる人工の眼内レンズの一つです。近視や遠視、乱視や老眼なども改善できることから、近年では白内障手術だけではなく、老眼治療にも使われるようになりました。多焦点眼内レンズ手術はどのような人が受けられるのでしょうか? 鈴木眼科グループ代表・鈴木高佳医師がQ&A形式で解説します。

Q. 多焦点眼内レンズ手術は何歳頃から受けられますか?

年齢的な制限はありません。例えば白内障には加齢性白内障のほかにも、ケガが原因で起きる外傷性白内障、ステロイド剤の投与が原因で起きるステロイド白内障、アトピーに伴う白内障などいくつか種類があります。そういう白内障の患者さんは年齢層が決まっていませんが、白内障手術が望ましく、可能な病状なら多焦点眼内レンズを使って治療することができます。

 

ですから小児以外、何歳でも受けられますが、ただ「40歳前後以降で老眼が始まっている方」あるいは「若くして白内障になり、単焦点眼内レンズではピントが固定されるため、若くして老眼になってしまう方」が、多焦点眼内レンズ手術の対象といえるかもしれません。

Q. 80歳以上でも手術を受けられますか?

もちろんです。

 

というのも多焦点眼内レンズを用いる白内障手術は、これまでにも65~85歳の患者さんを中心に数多く行われてきました。多焦点眼内レンズ手術の原理や方法は白内障手術とまったく変わりませんから、80歳を超えても安心して受けていただけます。

 

私の知る範囲では91歳の女性が多焦点眼内レンズ手術を受け、93歳の今でも元気に裸眼生活を続けていらっしゃいます。

Q. 老眼にならないと手術を受けられないのでしょうか?

「受けられない」というわけでは決してありません。それでも私が基本的に老眼の人のみに多焦点眼内レンズ手術をおすすめしているのは、老眼が始まっていない人なら、近視や乱視の矯正に効果的な方法がほかにも存在するからです。

 

例えば近視や近視性乱視の人なら、特殊な専用コンタクトレンズを使う「オルソケラトロジー」という視力矯正治療方法があります。毎日、就寝時にオルソケラトロジーコンタクトレンズを装用し、寝ている間に角膜の形状を変化させて近視や乱視を改善するものです。

 

この方法は特に若年層にも効果的で、メリットは、

●日中は裸眼で生活できる

●手術する必要がない

●見え方に不安があれば、使用を中止して元の状態に戻せる

 

反対にデメリットは、

●睡眠時間が短いと矯正力が弱まる

●レンズのケアを怠ると感染症のリスクが高まる

●遠視には効果がない

 

などが挙げられます。老眼は経験がないと理解しにくいものだと思いますが、「見る対象にうまくピントを合わせられない」という状況は非常に煩わしく、疲れるものです。どんなに多焦点眼内レンズ手術がピント調節機能を補完できるようになったといっても、やはり若いうちは、ご自分の自然な調整力を活かすことから始めてほしいと考えています。

 

手術療法であれば、そのほかにも有水晶体眼内レンズ(ICL)や、レーシックといった方法があります。

Q. 過去にレーシック手術を受けていても大丈夫ですか?

はい、過去にレーシック手術を受けたことのある人が、多焦点眼内レンズ手術を受けて老眼や近視、乱視を治したケースはたくさんあります。

 

レーシック手術は特殊なレーザーを照射することによって角膜の屈折度を変化させる屈折矯正手術です。近視や遠視、乱視などを矯正することができますが、加齢により水晶体が濁って硬くなれば老眼や白内障が起こります。

 

レーシック手術を受けた角膜は形状が変わっているため、多焦点眼内レンズ手術に用いるレンズの度数を決めるのが難しいといわれてきました。レンズの度数は患者さん個々の眼軸長と角膜形状の測定値等を度数計算式に入力して最適な眼内レンズ度数を出すのですが、レーシックで変形したあとの角膜ではその計算式が合わなくなってしまうのです。

 

しかし現在では、それも想定した新しい世代の計算式や測定機器が登場し、レーシック後の目でも、従来より正確に度数決定ができるようになっています。

Q. 糖尿病の人は手術を受けられないのでしょうか?

糖尿病の度合いと症状にもよりますが、すぐには受けられない可能性は残念ながらあります。

 

例えば、血糖のコントロールがうまくできているときなら手術することができます。

 

しかしHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値が高いなどの場合は、内科の専門医の診察を受け、手術が可能かどうか判断を仰ぐ必要が出てきます。

 

内科医と連携を取ることができれば、血糖値をゆっくり下げてから多焦点眼内レンズ手術を行えるケースもあります。糖尿病を患っている人は、来院時に必ずその旨を眼科医に伝えてください。

Q. 多焦点眼内レンズ手術を受けられない人は?

一概に受けられないとは限りませんが、「糖尿病」のほか「高血圧」「心臓病」「脳卒中の経験」「前立腺肥大症」などに当てはまる人は、病気と身体の状態を確認する必要があります。

 

特に問題になるのは、使用中の薬の種類です。心臓病で血液抗凝固剤を服用している場合、前立腺肥大症でα1遮断薬を投与されている場合など、手術するときに注意すべき点が変わってきます。問診票などで必ず眼科医に伝えてください。

 

また角膜や網膜、視神経などに異常がある場合、手術前に期待したほど視力が出ないことがあります。


 

鈴木 高佳

鈴木眼科グループ代表

 

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鈴木眼科グループ代表

神奈川県逗子市出身。栄光学園中学校・高等学校卒、1994年日本医科大学卒。日本医科大学付属第一病院にて麻酔科研修後、横浜市立大学医学部付属病院眼科に所属する。この間、同大学病院、函館の藤岡眼科病院、小田原の佐伯眼科クリニックへの勤務を通して白内障手術をはじめ眼科一般の経験を積む。

2002年より東京歯科大学市川総合病院眼科にて角膜疾患の診断・治療に携わる。また同年、日本国内での多焦点眼内レンズの厚生労働省治験を行った、東京歯科大学水道橋病院眼科のビッセン宮島弘子教授の助手として同眼科に勤務し、2006年3月まで、手術、診療、臨床研究に従事。同大学ではほかに、レーシックをはじめとする屈折矯正手術と日帰り白内障手術を専門に行う。

2006年国際親善総合病院眼科部長に就任。網膜硝子体疾患に対し手術および内科的治療(光線力学療法、抗血管内皮増殖因子硝子体注射療法など)を導入し、多数の患者の診断と治療を担当。

2010年4月、神奈川県横浜市のJR戸塚駅前に戸塚駅前鈴木眼科を開院。現在は同クリニックの理事長を務めるほか、同クリニックをはじめ県下に計4カ所のクリニックから成る鈴木眼科グループの代表を務める。

著者紹介

連載老眼・近視・乱視の悩みを解決!多焦点眼内レンズで叶える「生涯裸眼生活」

※本連載は、鈴木高佳氏の著書『メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門

メガネ・コンタクトレンズはもういらない!多焦点眼内レンズ入門

鈴木 高佳

幻冬舎MC

鈴木眼科グループ代表の鈴木高佳氏が老眼・近視・乱視・白内障の悩みを老眼鏡なしで解決する多焦点眼内レンズについて解説します。

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