平均月収43万円会社員+専業主婦で、年金月額22万円
生徒:定年まで会社員として働いた場合は、厚生年金ももらえるんですよね? いつからもらえるんですか?
先生:これも同じく65歳だね。ただし、会社員を辞めて自営業をやったとしても、会社員として厚生年金に加入している期間が最低1ヵ月以上必要なんだ。もちろん国民年金に最低10年間は加入していなければいけないのは、先ほど話した通りだね。
生徒:厚生年金の保険料は、いくら支払うんですか?
先生:厚生年金の保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけて計算されるんだ。つまり、たくさん給与をもらっている人のほうが、保険料が多く取られることになるね。ちなみに、標準報酬月額というのは、毎年、4月、5月、6月の3ヵ月の給与の金額の平均値だね。2022年の保険料率は、18.3%だけど半分会社が負担してくれるから、私たちが支払うのは9.15%ということだね。たとえば、毎月65万円稼いでいる人だと、65万円×9.15%で4万8,495円の保険料という計算になるわけだ。
生徒:これに加えて、国民年金保険料1万6,590円が取られるんですか?
先生:いや、会社員は厚生年金の保険料だけ支払っておけばいい。国民年金の保険料は、それに含まれているから。
生徒:それで、将来の厚生年金はいくらもらえるんでしょうか?
先生:この計算はとても難しいんだよ。基本的に、給与の金額と加入月数に比例すると考えたらいいかな。たとえば、平均的な月収43万9000円をして、60歳まで40年間働いたケースを考えてみようか。奥様がずっと専業主婦だったとすれば、夫婦2人分の年金は、夫1人の厚生年金と夫婦2人分の基礎年金になるね。これらを合算すれば、2022年度だと月に22万円くらいもらえるんだ。ただし、この年金額は、毎年減少しているから、君たちが65歳になるころには、もっと少なくなっているだろうね。
生徒:えーっ!? 夫婦2人で月に22万円だけですか!? それでは、ゆとりある生活はできませんね…。年金をもっと増やす方法はないのでしょうか。
先生:それはね、65歳から年金をもらうのではなく、もっと遅い時期から年金をもらい始めるという方法があるね。「繰下げ受給」という制度だ。
生徒:どれくらい増えるのですか?
先生:希望すれば、75歳まで遅らせることができて、繰下げる月数を計算して、1ヵ月あたり0.7%が増やされるんだ。例えば、75歳まで繰下げると、75歳になるまでの月数である120ヵ月×0.7%で、年金額は84%増やされることになるね。それが死ぬまで続くんだね。
生徒:84%増額ということは、年金額は満額の1.8倍になるということですね。
先生:ちなみに、夫婦共働きだと、奥さんのほうも厚生年金がもらえるから、年金額がもっと増えるよ。先ほどのケースだと、年金額は月に31万円くらいかな。
生徒:これからは夫婦共働きしなければ、やっていけないかも…。