前回は、株式投資のための「大局観」を身につけるトレーニング法を紹介しました。今回は、米国株式市場の動きが、株式投資において極めて重要となる理由を見ていきます。

米国市場の動きが分かれば「相場の先行き」も分かる

前回、米国の株式市場が日本の株式市場に与える影響について説明しましたが、この二つの市場の連動性を踏まえれば、前日のニューヨークダウ平均を毎日チェックすることは欠かせません。

 

なぜ上げ下げしたのかという理由が書かれた新聞記事は印刷して、ノートに貼っていきましょう。日経新聞の電子版や「Yahoo!ファイナンス」のトップ画面に表示される「ヘッドライン」であれば役立つと思います。読むタイミングは、前日の引け(11時以降)か大引け(15時30分)あたりがよいでしょう。

 

最初は動いた理由を読んでも何も分からないかもしれません。しかし、2ヶ月、3ヶ月と続けて読むことで、ある日突然、目の前の霧が晴れたように相場の先行きが見えてくるときがあります。

 

例えば、前日のダウ平均株価が大きく上がったのは、アメリカの雇用が改善したからだという記事があったとします。経済指標の数は、一つの国だけでも数十個存在するため、最初は何をどう見たらいいのかが分からないものですが、そうした記事を毎日読み続けることで、今注目すべき経済指標が分かるようになります。

 

すると、直近1ヶ月間でその経済指標が発表される日程を確認し、「その前後は大きな値動きがありそうだから、ポジションを持たないでおこう」などの防衛策を講じることができるようになるわけです。

 

米国10年債と2年債の金利をチェックすることも重要です。特に、2年債の短期金利はドル円レートにダイレクトに影響します。米国の金利が上がるということは、ドルを持っていればそれだけ金利収入が得られるため、ドル買いの理由になります。

 

2年債の短期金利は日本の株式市場との連動性が非常に高いことから、寄り付き前に見ておくと大いに参考になるはずです。

プロによる強気なコメントが増えたら相場は天井!?

私が毎日欠かさず見ているテレビ番組を一つご紹介しましょう。テレビ東京の「ニュースモーニングサテライト」という経済番組です。現場のプロが毎日発表される経済指標の中から、特に注目すべきものを解説してくれるため、経済指標をどう読み解くかというヒントが満載で学習ツールとして非常に役立ちます。

 

ただし、注意していただきたいのは「プロが言ったことの受け売りで売買しない」ということです。

 

個人投資家はプロの相場観をそっくりそのまま自分の相場観に置き換える傾向にありますが、大切なのはプロのコメントから「市場参加者は何に対して、どう反応したか」を知ることです。あくまでもプロはこういうふうに考えるのだとか、あるいはこれが市場のコンセンサスなのだという解釈にとどめてください。

 

そして、皆さんはあえてこの逆のことを考えるようにします。もしも株式市場に対して強気なコメントが増えたら、そろそろ相場は天井だと理解しましょう。

 

このように真の勝者となるには大局観を持つことが重要です。大局観なしに、自分なりの相場観はつくることはできません。極端なことをいえば、大局観さえ見誤らなければ、銘柄選びなどの小局観を間違えても大きな失敗が起こることはないのです。

本連載は、2015年12月10日刊行の書籍『初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

紫垣 英昭

幻冬舎メディアコンサルティング

アベノミクス効果や日銀の金融緩和により、賑わいをみせている日本の株式市場。昨年からはじまったNISAに続き、ジュニアNISAの創設や教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長など、若年層にむけての資産形成支援も充実…

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