(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

2月分機械受注(除船電民需)前月比▲9.8%と大幅に減少。減少は2ヵ月連続

 

製造業・前月比▲1.8%と2ヵ月連続減少、非製造業・前月比▲14.4%と2ヵ月連続減少

 

3ヵ月移動平均5ヵ月ぶりに減少等で「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断下方修正

 

1~3月期見通し前期比▲0.5%。3月分・前月比+17.4%が必要で、達成は難しいか

 

 

●2月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲9.8%と2ヵ月連続の減少になった。また、3ヵ月移動平均は前月比▲2.9%と5ヵ月ぶりの減少になった。但し、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+4.3%で11ヵ月連続の増加になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回1月分では該当はなかったが、今回2月分でも該当はなかった。

 

●2月分製造業の前月比は▲1.8%と2ヵ月連続の減少になった。2月分の製造業では17業種中、7業種で増加し、減少は10業種だった。電子応用装置、運搬機械の電気機械、電子計算機等、電気計測器の情報通信機械などが増加に寄与したが、化学機械、電子計算機等の化学工業、電子応用装置、電子計算機等のはん用・生産用機械などが減少に寄与した。

 

●2月分非製造業(除船電民需)の前月比は▲0.9%と2ヵ月連続の減少になった。1月分では大型案件が0件だった電力業は、2月分では原子力原動機1件、火水力原動機1件の計2件になった。電力業の前月比は+45.3%と2ヵ月ぶりの増加となった。2月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比▲14.4%と2ヵ月連続の減少になった。非製造業12業種中、4業種が増加で8業種が減少となった。通信機、運搬機械の通信業などが増加に寄与した。一方、電子計算機等、運搬機械の情報サービス業などが減少に寄与した。

 

●大型案件は、前回1月分は全体で1件。外需1件(鉄道車両1件)だけであった。今回2月分は全体で3件。電力業の2件の他に、官公需の国家公務で1件(船舶1件)あった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は2月分前月比▲18.6%と2ヵ月ぶりの減少となった。前年同月比は▲11.7%と11ヵ月ぶりの減少になった。

 

●外需は、2月分の前月比が▲2.8%と2ヵ月ぶりの減少になった。前年同月比は▲31.0%で11ヵ月ぶりの減少になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、21年5月分で「持ち直しの動きがみられる」に上方修正され、6月分に続き7月分でも据え置きとなっていた。しかし、8月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が下方修正された。9月分・10月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が据え置かれた。11月分では「持ち直しの動きがみられる」に、さらに12月分では「持ち直している」に上方修正され、前回22年1月分では「持ち直している」で判断据え置きとなっていた。しかし、今回2月分では「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に判断が下方修正された。

 

●機械受注(除船電民需)1~3月期の前期比見通しは▲1.1%から季節調整替えの影響で▲0.5%に変更になった。新型コロナウイルス感染拡大・第6波などで、企業が設備投資に慎重になった影響が感じられる数字である。1~3月期の前期比実績は09年(平成21年)から21年までの13年間でみると、上振れ8回、下振れ5回であり、若干上振れしやすい傾向がある四半期である。22年(令和4年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率95.1%をかけたものである。1~3月期の前期比見通しの▲0.5%を達成するためには、3月の前月比が+17.4%になる必要があり、下振れる可能性の方が大きいと思われる。3月分が前月比0.0%なら1~3月期の前期比は▲5.8%になる。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、21年5月45.0(回答した景気ウォッチャー・5人)、6月50.0(同7人)、7月50.0(同7人)、8月45.8(同6人)、9月47.7(同11人)、10月53.6(同7人)、11月40.0(同5人)、12月46.9(同8人)、22年1月33.3(同3人)、2月64.3(同7人)、3月43.8(同8人)と推移している。3月では「コロナ禍の影響が落ち着いてきており、設備投資も増加している。また、半導体不足の影響も商品の在庫がある企業にとっては追い風となり、販売量は増加している。(北陸:通信業〔営業〕)」というコメントがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは21年5月37.5(回答した景気ウォッチャー・6人)、6月43.8(同4人)、7月43.8(同8人)と推移し、8月28.7(同7人)に落ち込んだ後、戻して、9月53.6(同7人)、10月52.8(同9人)、11月57.1(同7人)、12月60.0(同5人)と4ヵ月連続の50超になった。その後、22年1月37.5(同8人)、2月は66.7(同3人)、3月は37.5(同6人)と推移している。3月では「3ヵ月先もまだ新型コロナウイルスの影響が続いていると思う。客先業界の設備投資への意欲が復活するのは大分先なので、余り変わらない。(東海・電気機械器具製造業〔経営者〕)」というコメントがあった。

 

●日本工作機械工業会によると、22年3月分速報値の工作機械の国内向け受注額の前年同月比は+48.3%と、21年3月分+18.2%、4月分+70.6%、5月分+82.6%、6月分+91.1%、7月分+82.9%、8月分+93.2%、9月分+90.2%、10月分+74.1%、11月分+84.9%、12月分+60.8%、22年1月分+67.3%、2月分+60.4%に続き、13ヵ月連続の増加になった。前年同月比はやや鈍化したものの、工作機械受注が増加傾向にあることが示唆される。機械受注統計での民需からの工作機械受注も前年同月比2ケタ増加の動きになっている。22年2月分の前年同月比+55.6%と、21年3月分+17.0%、4月分+71.4%、5月分+85.6%、6月分+77.2%、7月分+84.8%、8月分+91.4%、9月分+80.1%、10月分+63.5%、11月分+90.7%、12月分前年同月比+67.8%、22年1月分前年同月比+59.4%に続き12ヵ月連続の増加である。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年2月分「機械受注」のデータ』を参照)。

 

(2022年4月13日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

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