Uターン転職は数年じっくり準備する人も
▶ステップ3 企業選定
いくつかの候補が見つかったら、自分が最も働きたい会社や自分に適した職場はどれかを選定していきます。
その際のポイントがいくつかあります。
・ 事業内容……産業分類による業種ではなく、実際にその会社が何をやっている会社なのかを把握します。ひと口にサービス業といっても、誰にどんなサービスを提供する会社なのか、どうやって利益を得ているのかは会社ごとに違います。顧客が法人と個人では仕事をする相手も仕事の内容もまったく変わってきます。
・ 優位性……その会社の強みは何なのか、将来的にその強みは維持できるのか、同業他社はあるのか、競合他社との違いは何なのかなどを見ます。
・ 企業文化……会社の理念や社風も働くうえで重要です。会社の雰囲気は実際に社内に行かないと外側からは分かりにくいですが、その会社に知り合いがいればヒアリングするほか、転職エージェントに尋ねてみるなどの方法があります。
・ 会社の規模や将来性……現在の会社の規模だけでなく、これから成長していく会社なのか、成熟した事業フェーズの会社なのかなど、事業のライフサイクルのどの段階にある会社なのかを見ます。創業間もない会社と、成熟した会社、老舗でもバトンを引き継いだ若社長が二度目三度目の成長期を目指して新たなチャレンジをしようとしている会社とでは、求める人材が違います。自分が描きたいキャリアと企業の求める人材のギャップがないかを確認します。
・ 業務内容や待遇……仕事を通して自己実現することを目指します。転職できればどんな仕事でもいいという考え方はなしです。求人票に書かれている給与面や福利厚生などの条件面も大事ですが、その仕事をすることで自分はどんな成長ができるのかといった視点でも仕事を意識することが大切です。
・ リスク……その会社のリスクは何か、そのリスクが1年後5年後10年後にどうなっているのか、リスクヘッジはできているのかなどを見ます。特にベンチャーやスタートアップでは、軌道に乗る前に失速してしまうこともあります。
・ 自分のキャリアとの整合性……まったくの異業種・異職種にチャレンジするのも若いうちはありです。しかし、30代以上になるとゼロキャリアから始めるというのはリスクが高いと感じるかもしれません。今のキャリアを高めていきたい場合には、現職とのつながりや接点があるかを確認します。ステップ1の自己理解が十分でない人は、ここでミスマッチを起こしがちなので要注意です。
▶ステップ4〜ステップ6 書類作成・応募・面接調整
ステップ4~ステップ6は一般的な転職と同じです。応募する企業ごとに、求人内容とのマッチングの適正や自身のアピールポイント、職歴、資格などを履歴書や職務経歴書に記入し、応募をします。また、転職エージェントを活用した場合はエージェントから企業への「推薦状」で応募者のPRを手助けしてくれます。
▶ステップ7 面接
Uターン転職の面接では「なぜUターン転職をするのか」「Uターン転職によって何を叶えたいのか」「採用後の働き方やキャリアのビジョン」などを必ず聞かれます。ここでステップ1の自己理解が活きてきます。
地方企業、特に中小企業ではUターン人材に対する期待値が非常に高いです。その期待に応えられる人材であることや、転職への熱意などを自分の言葉で語れるようになっておく必要があります。
自分の内面を文章化したり、面接を想定した質疑応答のシミュレーションをしておいたりすると、語るべきことが整理されて効果的です。
▶ステップ8 内定・退職
一般的な転職の場合は、次の会社がすぐに見つかることが多いです。しかし、Uターンの場合は転職先の選定や自身の身の回りの整理などで、1年~数年じっくり時間を掛けて準備をする人もいます。
また、すぐに転職したくても求人が見つからない場合もあるため、今の仕事を継続しながら転職活動をするのが基本です。内定がもらえた時点で退職をすることで、離職の空白期間をつくらないようにします。
江口 勝彦
株式会社エンリージョン 代表取締役
キャリアコンサルタント