年金以外の収入・年金受給年齢・家計の収支
前述した重要ポイント3点を順に見ていきましょう。
①何歳まで働くのか…年金以外のフロー収入が何歳まで入ってくるか確認
一つ目の「何歳まで働くか」は、言い換えれば、年金以外のフロー収入が何歳まで入ってくるのかということです。実はこれがその他二つのポイントも左右する最も重要な要素になります。
例えば、現役の会社員時代にいかに収入が多かった人でも、退職して年金生活者(年金収入のみで生活する人)になれば、収入は低位フラットとなり、ゆとりある生活をしようと思えば、預貯金などの金融資産を取り崩す生活にならざるを得ません。
人生100年時代と言われ、何歳まで生きるか誰にもわからない中、毎月預貯金が減っていく状況になると、誰もが大きな不安を感じるようになるのです。
そこで定年ひとり起業の提案となるのですが、雇われる働き方ではなく、自ら仕事を作って稼ぎ続けることにより、現役レベルのフロー収入をできるだけ長く獲得し、維持し続けようということになります。
もちろん、定年ひとり起業をしてフリーランスで稼ぐ人たちの中でも収入の格差は大きいのが現実です。うまくいく人は現役時代の収入を超えている人もいますし、逆にほとんどボランティアと変わらないくらいの収入しか得られない人もいます。実際にはその中間くらいの人が最も多いでしょう。
②何歳から年金を受け取るのか…できるだけ長く働き、受給繰り下げを目指す
続いて二つ目のポイントである「何歳から年金を受け取るか」についてですが、一つ目の「何歳まで働くのか」とセットになって決まってくるものです。
できるだけ長く働き、年金受給を繰り下げて年金額を増やすことを私は推奨しています。年金受給開始の繰り下げについてはよく「どちらが得か」という議論になるのですが、「自分が何歳まで生きるのか」というのが誰にも分からない以上、絶対の正解はありません。だからこそ年金は保険なのであり、「年金保険」と呼ばれるのです。
ただし、もし75歳まで受給を延ばしても別の収入があって生活に支障がないという状態を作り出せれば、その後年金生活者になっても不安はほとんどなくなるでしょう。65歳から受給する場合に比べて金額が184%になり、かつ年金受給開始時点での平均余命も10歳くらいは短くなっているからです。
また、会社員を長くやっていた人は、年金の繰り下げについては基礎年金、厚生年金のそれぞれについて選択が可能です。
基礎年金のみ繰り下げ、厚生年金のみ繰り下げ、両方とも繰り下げ、の三つから選べるのです。しかも、65歳の受給開始年齢になった時点で「何歳から受け取る」とあらかじめ決める必要はありません。とりあえず「繰り下げ」を選択しておいて、受け取りたくなったタイミングで、その月に申請をすればいいだけです。
つまり、フリーランスとしてのフロー収入の推移を見ながら、生活費との兼ね合いで、年金が必要になったタイミングで、受給開始を自分で決めることができます。
それがたまたま70歳でもいいし、1カ月単位で好きな年齢の好きな月から受け取ることができます。その繰り下げる限度が75歳まで延びた、というわけです。
ですから、年金の受け取り方は、ひとり起業をした後に、マネープランを立てながら随時、見直すことができるのです。
③どんなライフスタイルを送るのか…家計の収支バランスを読む
重要ポイントの三つ目「どんなライフスタイルを送るのか」は、マネープランの支出に関わるポイントです。
一つ目、二つ目のポイントで収入を決めたうえで、それを踏まえて支出を伴うライフスタイル(=消費スタイル)を決めていき、家計の収支が決まります。老後のマネープランでは、この「家計の収支バランス」が決定的に重要なのです。
大杉 潤
経営コンサルタント
ビジネス書作家
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