中高一貫校生にとって最大のたるみ、「本だるみ」
■子ども自身「勉強しなければ」と思っているのに「動けない」から厄介
中高一貫校生にとっての最大のたるみは、早い場合は中2から、多くは中3から始まります。多くは、高2の夏頃に終わりますが、卒業まで続く子どももいます。原因は、中2のたるみと同じく「勉強が難しい」「自信喪失」「クラブが楽しい」「反抗期」などさまざまです。親とも一定の距離を取る子どもも多く、親からは「どうしたらよいか」とよく相談を受けます。中2の時よりも、体力的にも、精神的にも大きく成長し、言葉も達者になっているので、「力」や「脅し」は効かないどころか、かえって逆効果です。もちろん精神的に成長しているので、子ども自身は勉強しなければという気持ちはもっています。新たな行動を起こすのが億劫になっているのです。
<本だるみの対策>
●論理性が高く忘れにくい教科の学習を中心にする
面倒くささを感じる暗記科目ではなく、数学や現代文・小論文などがお勧めです。復習や暗記が少なく、一度身につければ、忘れにくいのが特徴です。特に、現代文や小論文は復習には時間がかからないうえ、思考力自体の強化になるため、全科目横断的な力を身に着けることができます。
●現代文・小論文に挑戦する
国語力を身に着ける方法として「読書」がよく挙がりますが、読書が習慣化されていない生徒が実践するには、かなりハードルが高いと思われます。国語を苦手としている生徒が、国語力アップのために読書している姿を見たことはありません。とはいえ、現代文はすべての教科の土台であることに異論はありません。国語力がない子どもは、英語の記述問題で苦労したり、数学の問題の意図が分からないなどの現実に直面します。
そうした子どもたちにお勧めの勉強は、センター試験の過去問の現代文を読むことです。
1題あたり20分程度で読めます。3段階で読みましょう。まずは、問題を解かず読み物として10分程度読みましょう。それを2回繰り返してください。3回目には設問に挑戦しましょう。時間は20分です。解答後は、この勉強の肝である答え合わせです。解答時間と同じだけ使って、解説を熟読してください。正解、不正解への意識が過度にならないようにしましょう。この段階での目的は、読書量の増加(活字慣れ)と理解です。
●数学に力を入れる
数学力で決まることが多いのが大学入試です。東大や京大、国公立大医学部などは、数学ができなければ、合格はかなり難しくなります。数学に力を入れている一部の中高一貫校に在籍している生徒を除いては、徹底して数学に取り組んでみてはどうでしょうか。
数ⅠA・数ⅡBに十分時間をかけ、演習にもしっかりと時間をかけましょう。センター試験の数学の問題を80〜90%程度解けることを目標にしてください。高2からの数学の学習がものすごく楽になると同時に、物理・化学などの学習の時間を増やすことにもつながります。
●英語は、運用能力の向上とリスニング力のアップ
これまでに覚えた語彙・文法・構文を長文の中で確認していきましょう。英文を通じて、運用能力を高めてください。パンクチュエーション(句読点)や品詞には特に注意してください。意外と見落とされているのが品詞です。英文解釈の基礎は品詞です。この時期に品詞を徹底的に意識した学習をしてください。暗記は後からでも間に合います。
リスニングに力を入れる時期でもあります。耳を使う学習なので心理的ハードルも高くありません。また、リスニング力をつける時期は、早ければ早いほど効果が高いと言われています。中だるみの時期の学習としては最適です。
そして、この時期に英検などにも積極的に挑戦しましょう。大学入試は遠い目標でモチベーションにはなりにくいのに対して、英検はテストも頻繁に実施されているので学習目標としては適しています。
●模試を受験する
テスト効果の中でも最大のものが模試です。勉強する時間が取れない人ほど、模試を受けてみることをお勧めします。知識の定着に役立つだけでなく、自分の現在地を知ることで、効率的、効果的な学習を組み立てることができます。中高一貫校の生徒が模試を受ける場合は、1学年上、ないしは2学年上の模試を受けることをお勧めします。中高一貫校の学習進度は、世間一般では1学年、学校によっては2学年上に相当します。同一学年であれば、かなりの好成績を取ることはできるものの、現在地を知るには適していません。
もちろん少し学習に自信を無くしている人は同学年を受けてください。学校の成績が良くないのは周りが優秀だからであって、学校外では悪くないんだということが実感できます。自信を持つためにも受けてみてはどうでしょうか。
乾 俊和
株式会社ドゥクエスト 代表取締役社長
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