今後も「高齢化率」が上昇を続ける日本
わが国は、世界でも有数の長寿国であり、男女とも年々平均寿命が延びています。また少子化がますます進んでいるため、社会の中で高齢者(満65歳以上の者)の占める割合も増えています。全体の人口の中にどれだけの高齢者がいるかを示す割合のことを「高齢化率」といいます。そして、世界保健機構(WHO)や国連の定義によると、高齢化率が7パーセントを超えた社会のことを「高齢化社会」、14パーセントを超えた社会のことを「高齢社会」、更に21パーセントを超えた社会のことを「超高齢社会」といいます。
わが国は、昭和45年(1970年)にはじめて「高齢化社会」に入りましたが、その24年後の平成6年(1994年)には「高齢社会」に、更にその13年後の平成19年(2007年)にはついに高齢化率が21パーセントを超えて「超高齢社会」に突入しました。このようにわが国の高齢化のスピードは加速しており、その後もどんどん高齢化率は進んでいて、平成26年では、過去最高の26パーセント(4人に1人以上)にも達しています(平成27年版高齢社会白書)。
そして、同白書によれば、今後も高齢化率は上昇を続け、平成47年(2035年)に33.4パーセント(3人に1人)となり、平成54年(2042年)以降は高齢者人口が減少するにもかかわらず高齢化率は上昇を続け、平成72年(2060年)には39.9パーセントに達して、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると推計されています。
高齢者の認知症率は予備軍も含めれば28パーセントに
高齢化社会が進むと、認知症等により第三者の支援が必要となる高齢者数も当然増加することになります。最近の厚生労働省研究班の有病率調査によれば、平成22年(2010年)時点で認知症患者は約439万人だったのが、平成24年(2012年)時点では約462万人に上ることが分かりました。同年の高齢者数が3079万人ですので高齢者の約15パーセントが認知症患者ということになります。
また認知症になる可能性がある軽度認知障害の高齢者数も約400万人いるとされており、この認知症予備軍と認知症患者を合わせると実に高齢者の約28パーセントを占めることとなるのです。この数も将来的に増加を続けることになり、その対策が急務といえます。
また、高齢者が単身や夫婦のみで暮らす世帯も増加しています。そのため、消費者被害や悪質商法の増加、介護保険制度の普及とともに高齢者の人格を侵害する虐待問題の増加も懸念されています。
独立行政法人国民生活センターの報告では、高齢者が契約当事者である相談は年々増加しており、全国の消費生活センターに寄せられた70歳以上の方の相談件数は、平成25年(2013年)度は約20万8000件で全体の約22.3パーセントを占めていて、これは平成16年(2004年)度の割合が約6.7パーセントであったことからすれば、ここ10年で約3倍に増加したことになります(消費生活年報2014)。
このような高齢者が抱える問題は、誰にも避けられないものであり、高齢者であるが故のトラブルを避ける対策を私たちは日頃から真剣に考えていかねばならないと思います。そしてこの点については、何といってもこういった高齢者を保護するための成年後見制度、その中でも、自分が判断能力が不十分になったときのことを見据えて事前に自分の後見人を選任しておける任意後見制度の活用が望まれます。