写真:PIXTA

コロナ禍からの回復が鮮明になるフィリピン。一方でインフレ懸念が蔓延し、フィリピン総合株式指数も一時大台の7,000を割り込みました。引き続きボラティリティーの高い不安定な状態は続きそうです。最新のフィリピン経済と株式市場について、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が解説します。

コロナからの経済回復、一方でインフレの懸念も

 

このようなコロナ後経済再開という好材料と物価高騰・高インフレという悪材料が交錯する中、どちらの影響も受ける財閥銘柄がDMCIホールディングス株式会社(DMC)です。

 

DMCは、1995年3月8日に、Consunjiファミリーの建設事業、建設資材事業、および関連会社の持株会社として設立され、同年に株式公開しました。

 

純利益は、2020年の66億ペソから2021年には171億ペソと164%と、倍以上に増加しました。特に石炭マイニングと石炭火力発電を行うSemirara Power and Mining Corp(SCC)の収益増が大きく貢献しました。

 

SCCの純利益は2021年92億ペソとなり、前年の20億ペソから360%増加しました。SCCの大幅増益は、石炭価格の急騰とそれに伴う電力料金の継続的な上昇からもたらされ、今後の経済活動の再開と商品価格の高止まりが続く限り、利益を伸ばし続けることが予想されます。不動産部門の2021年は、2020年よりも25億ペソ高い44億ペソ純利益貢献しました。

 

2021年のDMCの純利益のうち、SCCとDMCを合わせると79%を占めます。DMCのニッケル鉱山部門であるDMCI Mining Corp.は、純利益への寄与を150%増の12億ペソに伸ばしました。ニッケル販売価格の上昇と、過去最高の約200万トンの出荷が寄与しました。

 

DMCパワーは、電力販売量の増加により2020年の5億3700万ペソから8%増の5億8000万ペソを生み出し、DMCの建設部門であるDM Consunjiは、貢献度を1億900万ペソから3億7800万ペソに伸ばしました。

 

世界的な資源・商品供給不足とロシアへの経済制裁により、石炭やニッケル市場が急騰・急落と大きな動きをする中、SCCやDMCの株価や利益も大きく上昇しましたが、今後は、資源価格の高止まりからの恩恵は受けるものの、これまでのようなコモディティー相場主導の急上昇はなくなると考えられます。

 

電力事業については、景気回復の恩恵を受けると考えられます。また、インフラプロジェクトや新規投資も増加するものと思われます。

 

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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