戦争経済なら、インフレ
[図表2]に示すとおり、戦争が起きれば、インフレになります。実際に戦火を交えず、「新冷戦」で世界が分割されるとしても、①軍拡(防衛支出の増加)や、②資源や原材料・部品・製品などの調達先が狭まることで物価が上昇する可能性があります。
政府債務はすでに拡大していることから、国防費の増加を含め、債務を持続可能にするために、長期金利をインフレ率よりも低く抑える「金融抑圧」が生じる可能性があるでしょう。市中銀行や保険会社、年金基金は、国際規制や国内規制によって国債の買い入れを強制される可能性があるでしょう。
3月のFOMCがまもなくですが、筆者は、ハト派的な姿勢を示すと考えています。年内の利上げの回数は少なくしておき、事態が収束するなら、その後に回数を増やせばよいわけです。ハト派姿勢のインプリケーションは、低金利とインフレですから、このとおりなら、株式のみならず、米国リートやハイ・イールド債券にとって追い風になるでしょう。
「優しさ捨てたFRB」などと書かれていますが、筆者は依然として、FRBはハト派のままではないかと疑っています。
歴史の流れを考えてみましょう。「インフレ・ファイター」として、ポール・ボルカーが登場するのは、大きなインフレによって、実質政府債務の減少が確認された後です。
政府債務が収束していないのに、インフレ・ファイターが出てくれば、為政者は「ちょっと待て。まだ、登場が早過ぎる」となるでしょう。役者には文字通り「役目」があり、登場の順番には意味や必然性があります。
(時間がない方は、ここまでで十分です)