「遺産が少ない=揉めない」ワケではない…弁護士が解説「争続に発展しやすい家庭」の特徴 (写真はイメージです/PIXTA)

遺産に関する紛争件数は、近年増加傾向にあります。直近10年で約1割、家庭裁判所における遺産分割の事件数が増えているのです。トラブルを防ぐために、日ごろから「相続」についての知識を深めておきましょう。本記事では、Authense法律事務所の柳川智輝弁護士が、「争続に発展しやすいケース」「トラブル防止策」について解説していきます。

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遺産に関する紛争件数は増加傾向にある

まず、遺産に関する紛争件数についてですが、近年増加傾向にあります。以下のとおり、最近10年で約1割、家庭裁判所における遺産分割の事件数が増えています。

 

平成22年度 遺産分割事件数:10,849件
令和2年度 遺産分割事件数:11,303件
(参照:裁判所HP「司法統計年報家事事件編(遺産分割)」)

 

また、遺産額が大きい案件ばかりではなく、遺産額が5,000万円未満の案件でも、紛争となっているケースが多いです。

 

令和2年度の遺産分割事件(認容事件:総数7,987件)の遺産額での内訳
1,000万円以下:2,469 件(全体の約31%)
5,000万円以下:3,465件(全体の約43%)
(参照:同上)

 

このように、遺産分割事件の件数は増加傾向であり、また、遺産額に関係なく、紛争になる可能性があるといえます。

遺産相続で紛争になりやすいケース

 

遺産相続で紛争になりやすいケースは、以下のようなケースです。

 

①相続人間の関係性が悪い/薄いケース

たとえば、法定相続人が長男・二男の2名で、被相続人の生前から仲が悪かったケースは、相続発生後も円満な話し合いができず、紛争となることが多いです。

 

また、法定相続人が、後妻との間の子どもと前妻との間の子どもなどの場合は、相続人同士の関係性が希薄で、信頼関係が築くことが困難なため、遺産の分け方が決められず、紛争に発展しがちです。

 

②遺産(不動産や自社株など)の評価額が分かりづらいケース

遺産のなかに、評価額が分かりにくいものが含まれている場合も、紛争となるケースが多いです。

 

不動産や自社株などは、もらう側ともらわない側とで、なかなか評価額の合意ができず(もらう側は評価額を低くし、もらわない側は評価額を高くしようとします。)、紛争にまで発展することが多いです。

 

③生前贈与を受けた人がいる/被相続人を介護した人がいるケース

相続人のなかに生前贈与を受けた人がいる場合は、「特別受益」の主張が出てくることがあり、生前贈与を遺産分割のときに考慮するか否かでもめてしまうことが多いです。

 

また、被相続人を介護した人がいるケースだと、「寄与分」の主張が出てくることが多く、「寄与分」を遺産分割のときに考慮するか否かで合意ができず、紛争に発展します。

 

①~③のケースでもめてしまうと、双方が代理人を立てて、遺産分割調停の申立てまで進むことが多いです。遺産分割調停となると、解決までに1~2年かかることも多く、大半のケースでは、相続税申告期限までに遺産分割が完了しないという事態に陥ります。

 

また、①~③のケース以外にも、「葬儀の手続きや費用負担でもめた」、「被相続人の財産の管理方法でもめた」など、思わぬところでもめてしまい、遺産分割がまとまらなくなるケースも少なくありません。

 

「ウチは大丈夫」と思っていても、思わぬところから紛争に発展するケースもありますので、遺産分割については、専門家にアドバイスをもらいながら、慎重に進めていただくと良いでしょう。

遺産相続で揉めないために…どんな対策ができるのか?

それでは、遺産相続で紛争が生じないようにするためには、どのような対策をとるべきでしょうか?

 

遺産相続で紛争が生じないようにするには、被相続人が生前に遺産の分け方を決めておくことが大事です。

 

一般的には、遺言書を作成して、万が一のときの遺産の承継先を予め決めておき、相続人間で遺産の分け方についてわざわざ話し合いをしなくても良いようにしておくことが多いです。

 

最近では、財産の管理をする人及び財産の承継先を決めておく家族信託制度を活用する方も増えています。
 

 

遺言書も家族信託も、被相続人の生前、かつ、被相続人に判断能力があるときにしか作成、契約締結を行うことができないため、早めに対策をとることが重要となります。

 

また、遺言書も家族信託も、被相続人から見て内容が明確で、その「有効性」が後から争われないような、しっかりとした内容のものを作成しておく必要もありますので、これらの作成を検討される場合は、必ず弁護士などの専門家に相談してみてください。

遺言書の作成…弁護士「付言をつけるべき」の真意は?

また、遺言書を作成するときには、「付言」をつけることもお勧めします。「付言」とは、遺言書に添付できる被相続人から相続人に向けたメッセージのようなもので、法的な拘束力は有しませんが、相続人が遺言書を発見したら必ず目を通すものとなります。

 

特別受益や寄与分の主張が出てきそうな場合は、この「付言」をつけることで、紛争が生じないようにできる場合がありますので、ぜひ「付言」をつけることも検討してみてください。

 

たとえば、介護をしてくれた相続人に少し多めの財産を承継させる場合は、「付言」にて、

 

「●は、私の生活面を本当によくサポートしてくれたので、少し多めに遺産を承継させることとしました。しかし、□にも本当に感謝しています。」

 

というような文言を入れることで、遺言書どおりの分け方に相続人も納得しやすくなります。

なかなか話し合いが進まない場合に検討すべきこと

遺産相続では、法定相続人の間で財産の話をしなければならないため、なかなかうまく話が進まないことが多いです。特に、相続発生後は、葬儀や公的な手続きの負担が重くのしかかってくるため、気持ちに余裕がなくなってしまうことから、些細な仲違いから紛争に発展してしまうこともあります。

 

そのため、相続が発生し、なかなか相続人間で話し合いが進まないという場合は、司法書士や行政書士などの専門家に相続財産の調査を依頼したり、遺産分割のルールについて弁護士などの専門家にアドバイスをもらったりするようにしましょう。

 

もし、まったく連絡がとれない相続人や、話し合いができない相続人がいたら、早めに弁護士に相談しましょう。

 

なかなかコミュニケーションがとれない相続人間で、遺産分割の話し合いを進めようとすると、時間ばかりが経過してしまい、感情的になってしまうことも非常に多いです。そのような場合は、少し費用はかかりますが、弁護士に間に入ってもらい、遺産分割の手続きを進めてもらうことを検討すると良いでしょう。

 

 

Authense法律事務所

柳川 智輝

 

 

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Authense法律事務所 弁護士

第二東京弁護士会所属。東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修了。
遺産分割協議や遺留分侵害額請求、遺言無効確認など、相続に関わる様々な紛争案件の解決実績を持ち、遺言作成などの生前対策や事業承継、信託にも精力的に取り組む。
相続のみならず、離婚問題などの家事事件にも注力。また、建築紛争やスポーツ法務といった新たな分野にも意欲を持つ。
依頼者の意思を尊重しながらも客観的に物事を捉え、様々な選択肢を提示したうえで、納得できる解決に向けて尽力することを信条としている。

Authense法律事務所(https://www.authense.jp/)
Authense遺言・遺産相続(https://www.authense.jp/souzoku/)

著者紹介

連載Authense法律事務所の柳川智輝弁護士が解説!もめない相続を実現する方法

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