資産循環のために重要な「生前贈与」と「生前消費」
では、資産を循環させるためにはどうすればよいのでしょうか。
直接、若い世代に資産を流す仕組みとして最も一般的なのが生前贈与です。生前贈与とは、生きている内に次の世代や配偶者などに財産を移すことです。
この生前贈与は、財産をあげる人ともらう人との契約になります。したがって、どちらかが認知症になってしまうと、契約の効力をめぐって問題となることがあります。成年後見制度を利用した場合には、後見人の判断によっては贈与できない可能性があります。
注意点は、それだけではありません。税金のことを頭に入れておく必要があります。贈与では年間110万円までは基礎控除となり(2021年時点)、贈与税はかかりません。しかし、それを超えると他の控除の規定が適用されない限り贈与税の対象となります。相続の際にみなし財産とされることもあり、税理士等の判断を仰ぎながら検討すべきでしょう。
国は手をこまねいているわけではありません。一部の世代で資金が停滞しないよう、孫への教育資金援助の控除額拡大など生前贈与へのインセンティブを用意しています。
生前贈与と並んで重要なのが、生前消費です。日本はGDPに占める内需の割合が高いです。ところが、その内需に直結する消費ですが、国民の消費マインドは依然低い状態です。
その原因は、将来に対する不安が大きいことが背景にあります。いくらデフレ脱却が叫ばれても将来に不安があれば、国民の財布の紐は堅いままです。
また、昭和の経済成長期にあった「三種の神器(テレビ、冷蔵庫、洗濯機)」に代表される消費意欲を促すものは、令和の時代ではなかなか見つけることができないのが現状ではないでしょうか。
岡 信太郎
司法書士のぞみ総合事務所
代表司法書士
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