有給休暇は雇用形態に関わらず「必要」だが…
■有給休暇を利用する「条件」は?
有給休暇とは、文字通り「給与の有る休暇」、つまり給与を減額されずに取得できる休暇のことです。有給休暇を利用できるのは、2つの条件を満たした従業員です。
<有給休暇を利用できる条件>
①雇入れの日から起算して6ヵ月間継続勤務していること
②全労働日の8割以上出勤していること
労働基準法は企業に対し、この2つの条件を満たす従業員に年次有給休暇を付与する義務を課しています。したがって、初めて有給休暇を与えられるのは、企業に採用されてから6ヵ月後です。
■有給休暇は「何日分」取れる?
では、何日分の有給休暇を利用できるのでしょうか。それは、1週間または1年間に出勤する日数によって決まります。
注意したいのは、勤務時間ではなく日数で決まるという点です。つまり、1日の所定労働時間が8時間勤務でも1時間勤務でも、出勤日数が同じであれば、付与される有給休暇の日数も同じになります。
まず、正社員について確認しましょう。図表1の通り、採用されてから6ヵ月後に10日分の有給休暇が付与されます。
次に、パート・アルバイトについて確認しましょう。図表2の通り、1週間または1年間の所定労働日数によって有給休暇の日数が決まります。
このように、パート・アルバイトにも働き方に応じて有給休暇が与えられることを、比例付与といいます。
1週間に1日でも出勤している場合には、採用されてから6ヵ月後に有給休暇が付与されます。
たとえ短時間であっても、1週間に5日以上出勤している場合には、正社員と同様に10日分の有給休暇が付与されます。
入社して6ヵ月後に有給休暇が付与されることから、6ヵ月未満の有期雇用契約を交わし、それを更新することで有給休暇を与えずに働いてもらうことができると考える方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、各契約期間が短いとしても、最初に働き始めてから6ヵ月経過した時点で付与の対象となりますので、ご注意ください。
■シフトが固定していない場合、有給休暇は何日分?
有給休暇の付与日数は、原則として1週間の所定労働日数によって決めることができます。
シフトが固定していないなど、週X日という形で勤務日数が定められていない場合、有給休暇の付与日数をどのように決めるのでしょうか。
週の所定労働日数が定められていない場合、1年間の所定労働日数によって決めます。
採用されて6ヵ月経過後、初めて有給休暇を付与される時には、過去6ヵ月間に実際に就労した日数を2倍した日数を1年間の労働日数とみなし、図表2に当てはめて有給休暇の日数を計算することが認められています。