今回は、特定の不動産会社が儲けを独り占めする「囲い込み」の実態について見ていきます。本連載は、株式会社ハウジングサクセスの代表取締役・金子徳公氏の書籍『我が家を売る時も買う時も絶対に損しない方法』(現代書林)の中から一部を抜粋し、不動産業界の衝撃の裏側をご紹介します。

最新の物件取り引き状況を「故意隠す!?

前回の続きです。

 

ところがこの「両手取引」をゲットするために、故意に「囲い込み」を行う悪い不動産屋があるのです。囲い込みとはこういうことです。

 

Aさんからマンション売却の依頼を受けたB社は、とりあえずデータベースに登録します。ところがD社がその情報を見て、B社に問い合わせると「その物件はただいま商談中です」「契約予定でして・・・」という答え。

 

実際にはその物件は何の商談も進んでいないのです。B社がウソをついているのです。「申し訳ありません。あいにくその物件はすでにご検討をいただいている方がいらっしゃいまして・・・」

 

口調は丁寧だけれど、心の中では「アンタのとこに客を取られてなるものか」「儲けはうちで独り占めしたい」というのが本音。

 

そうやって時間延ばしをしている間に、B社に「3LDKのマンションを買いたい」というお客様がつけば、「待ってました(イヒヒ♪)」とばかり揉み手で、Aさんの物件を紹介。契約が成立すればB社は、売り手、買い手の両方から仲介手数料を得られる「両手取引」となります。

売り主は情報が隠されていることを知らない

さらに悪いところではデータベースに登録さえしないところもあるのです。自分のところだけで情報を抱え込んで、一切外に出さないのです。この囲い込みのどこがいけないのか? こうしたB社の「悪巧み」を、売り主Aさんは知りようがないことです。

 

情報が隠されていることも、自分の物件が勝手に「商談中」と言って問い合わせを断っていることも何もわからない。何も知らないままにAさんはB社が一生懸命営業をしてくれているのだと信じて待っているのです。

 

B社が囲い込みをしなければ、Aさんはすぐに興味を示してくれたCさん(D社)と交渉できたはずです。その結果、もっと早期に売れたかもしれないのです。これはビジネスとか法律違反とかいう以前の話として、人としてあってはならないことではないでしょうか。

 

このようなケースについては、レインズでも手を打ってきました。2016年1月から取引が可視化され、取引の状況が売り主さんにもわかるようになりました。

本連載は、2016年7月18日刊行の書籍『我が家を売る時も買う時も絶対に損しない方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

我が家を売る時も買う時も 絶対損しない方法

我が家を売る時も買う時も 絶対損しない方法

金子 徳公

現代書林

残念ながら今の不動産業界は「ウソ」や「ごまかし」が横行しています。目先の売り上げしか考えておらず、お客様に顔が向いていない営業マンがたくさん存在するのです。何故そうなるのでしょうか? それは、「不動産業界にはリ…

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