250坪もの土地なのに・・・共同住宅を建てられない
今回の事例です。
●ヒルサイドコート(東京都豊島区)
旗ざお状の土地に建てた総戸数7戸の賃貸住宅です。1階には3戸、2・3階にはメゾネットの住戸4戸を配置しました。このメゾネットはクロスメゾネットという方式です。
敷地面積は250坪ほどあって余裕はあります。普通に考えればこれだけの規模のある土地ですから、土地所有者としては共同住宅を建てて活用を図るというのがセオリーです。
ところが、道路から奥に入ったところに広がる旗ざお状の土地なので、東京都内の場合、共同住宅を建てることが条例で禁じられています。
「長屋建て」の手法で総戸数7戸のマンションに
そこで、長屋建てという建て方で複数の住戸を確保することにしました。この長屋建てというのは、住戸は複数持ちながら廊下や階段は共用しない建て方です。建物全体の共用エントランスはなく、1階の住戸3戸はそれぞれ直接出入りします。2・3階の住戸4戸は一つ一つ専用の階段で上がっていく造りです。
都内の場合、旗ざお状の土地で複数住戸の賃貸住宅を建てるには、この長屋建てのほか手法はないのが実情です。共同住宅の建設に関しては建築基準条例と呼ばれる条例で自治体ごとに制限を加えているので、注意が必要です。
なお、この賃貸住宅はその後、中古マンションの再生事業を展開する会社が買い取って、改修したうえで分譲マンションとして販売しています。
【建築概要】
●ヒルサイドコート
所在地:東京都豊島区
主用途:賃貸住宅
構造・階数:鉄骨鉄筋コンクリート造、地上3階
敷地面積:833.03㎡
延べ床面積:975.23㎡
総戸数:7戸+施主宅1戸
間取り:1LDK・2LDK
住戸面積:94.40~138.52㎡
設計:環境建築設計
施工:大日本土木
完成:1991年3月