リタイア後の収入の目安は「年間600万円」!?
ファイナンシャルゴールが設定されれば、次はどの程度の資産を確保すればいいのか、いわゆる「②ボリューム」が決まってきます。ボリュームとは、ファイナンシャルゴール後の「必要金額」となります。リタイア後は海外ロングステイをしたい、研究活動に戻りたいなど、希望するライフスタイルに応じて収入と支出をシミュレーションして、大まかな「ボリューム」を想定するといいでしょう。
筆者には、退職後の生活費は「現役時代の年収の6割程度あれば安心」という目安があります。筆者のところに相談に来られる方の理想のボリュームとしては、1000万円ほどを考えているケースが多くみられます。
また、リタイア後の収入の目安については「6050理論」を提唱しています。60歳までに月額50万円、年間で600万円の不労収入を確保するという考え方です。ただし、この数値というのもあくまでも目安です。55歳で月額70万円を目指したいということであれば「5570」としてください。このようにリタイアしたい時期と目標金額の両方を具体的に設定することで、今後の資産形成のプランが立てやすくなります。どちらか一方が欠けてしまってはいけません。
資産の運用期間は長いほど有利
ボリュームが決まったところで、次は資産形成の「③期間(運用期間)」を設定します。運用期間はファイナンシャルゴールから逆算して、長ければ長いほど有利になっていきます。
たとえば、年平均2%の運用益がある金融商品でも、10年運用すれば単利計算で20%、複利計算なら21.89%になります。複利とレバレッジで、長い期間運用できれば、それだけ低いリスクで大きなパフォーマンスを得ることが可能になるということです。
たとえば、1000万円を21.89%で運用できれば、1218万9000円。元本に利子を合わせた金額で運用していく複利運用は、金利の高い時には大きな効果をもたらします。レバレッジというのは、簡単に言えば少額の手持ち資金で投資金額を大きくして、より高い投資効果を狙う運用法。リスクはありますが、リターンも大きいということです。
ただし、資産形成のための運用期間の設定というのは、その開業医の事情や開始する年齢によっても大きく異なります。たとえば、50歳を過ぎてから相談に来られて、「あと5年でリタイアしたいけれど、何も用意していない」とおっしゃる方もいます。時間がないということはそれだけ、リスクの高い資産形成を行うか、あるいはリタイアの時期が予定よりも遅くなることを意味します。一方、30代、40代前半でスタートさせる場合は、最小限のリスクで運用していくことが可能です。
OECD(経済協力開発機構)のデータによると、日本人男性が実際に退職する年齢は、平均で「69.5歳」となっています。一方、内閣府が行った「職業生活から引退すべき年齢」に対する意識調査では「65歳ぐらい」と答えた人が42.1%となっていました。
つまり、本当は65歳ぐらいで引退したいのに、実は70歳近くまで働いている、というのが現実のようです。早めに行動に出ることが、自分の希望通りの年齢でリタイアするための第一歩なのです。