悠々自適とは、単に「お金に困らない暮らし」ではない
開業医の方の描くリタイア後の暮らしに共通していることは「悠々自適に暮らしたい」という願いです。悠々自適、という言葉には誰もが憧れる魅力があります。一般的にはお金持ちの優雅な生活、シャンパンを片手にクルージングといったイメージでしょうか。
しかし、本来「悠々自適」とは辞典によると「俗事に煩わされずに自分の思うままに心静かに生活を送ること」とあります。単にお金に困らない暮らしではないのです。
3つの「RICH」が悠々自適なリタイアを可能に
では、開業医にとって本当の意味での「悠々自適」とはどんな暮らしなのか――。筆者は次のような3つの「リッチ(RICH)」の実現を提唱しています。
①マネーリッチ(Money Rich)
お金の面で余裕があるということは最低条件のひとつです。
しかし、マネーリッチとは単にお金がたくさんあればいいというわけではありません。自身が理想とする生活にどれだけの不労収入や資産があればいいのか、その生活水準をクリアしていることが本当のマネーリッチと言えます。
たとえば、5億円の資産を蓄えていても「足りない」という方はマネーリッチとは言えませんし、一方で月々50万円の収入でも「十分」という方はマネーリッチと言えるのです。
②タイムリッチ(Time Rich)
現役開業医にとって、時間は極めて貴重なものです。リタイア後のライフスタイルでは、超多忙な日々から解放されて時間的に余裕のある日々を実現したいものです。
あまった時間で自分の趣味や旅行を楽しむ。リタイア後の悠々自適な生活に「タイムリッチ」は必要不可欠です。
反対に現役世代はタイムプアーが多い。自分で仕事を抱え込み、本業以外のことでも手いっぱいで、アウトソーシング(院内や外部の人間に自身の仕事を任せること)が苦手な医師が多いようです。
③マインドリッチ(Mind Rich)
精神的に余裕のある暮らし。いわゆるマインドリッチであることも、悠々自適な生活には不可欠です。問題は、そんな生活を自覚できるための環境作りですが、人によっては海外のリゾート地かもしれませんし、地方の田園風景かもしれません。
また、誰と過ごすかも重要になります。お金も時間もあるのにひとりでやることがないといった生活は寂しいものです。
誰からも干渉されず自分の時間を過ごしたいという考えを否定するわけではありませんが、最近では、リタイア後は別居して、夫婦それぞれの暮らしを満喫したいという奥様も増えています。本当の意味で真剣にセカンドライフを考えているのは女性のほうかもしれません。
これら3つのRICH(リッチ)を達成してこそ、本当の意味での悠々自適なリタイアが可能になるのではないでしょうか。これを「3RICH理論」と名付けています。
[図表]3RICH理論のイメージ図