前回は、開業医の資産形成における7つの視点のうち、5つ目の「リスク許容度」について説明しました。今回は、6つ目の「関与」という要素について見ていきます。

医師には価格変動の激しい金融商品は不向き

超多忙な開業医の場合、資産運用はその知識を学ぶ時間や金融商品の価格の推移などをチェックしなければならず、相当の負担になってしまいます。そこで、実際に資産形成を始める前に、自分がどの程度資産形成に「⑥関与」ができるのか。その度合いを決めておく必要があります。

 

関与の度合いによって、選択する金融商品も当然のことながら大きく違ってきます。たとえば、株式の個別銘柄や為替変動を狙ったFXとなると、少なくとも毎日のように株価や為替レートをチェックしなければいけません。とてもそんな時間はとれない、という開業医にはこうした価格変動の激しい金融商品は向いていないと言えます。

 

その点、賃貸収入を狙った収益用不動産への投資などは、管理会社に任せてしまえば、数年単位で一定の収益を上げてくれます。収益性の高い生命保険なども、一度投資しておけば5年、10年と放置できるために、開業医に向いている金融商品と言えるでしょう。あるいは、ほとんど任せきりにできるプライベートバンキングといった特殊な銀行を使う方法もあります。自分にとってどんな方法が最もふさわしいのかを、きちんと決めておきましょう。

どの程度「投資」に向き合えるかを確認する

たとえば、次の4つのようなパターンで「関与の度合い」を分けて判断する場合もあります。

 

ほとんど手間をかけたくない

半年に一度、20〜30分程度の定期報告を電話で受けるので十分。知りたい情報、相談したいことがある時だけ、連絡をとれる程度でいい

 

ほぼ手間をかけたくないが、定期的に連絡は欲しい

月に一度程度、20〜30分程度の定期報告で十分だが、年に一度は直接面談して現状報告や投資相談をしたい

 

積極的に参加していきたい

必要とあれば、情報収集や意見交換なども含めて、計画の見直しや改善などにも積極的に参加したい

 

情報は常にチェックしたい

投資や運用についてのプロフェッショナルと呼べるレベルを目指していきたい

 

こうした「関与の度合い」の違いによって、投資する金融商品なども異なってきます。ですから、まずは自分自身がどの程度、資産形成に関与できるのか、あるいは関与したいのか、そして関与できる時間はどれぐらいあるのか、仕事とプライベートとのバランスなども考えておきましょう。

本連載は、2015年8月4日刊行の書籍『開業医のための資産形成術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

開業医のための資産形成術

開業医のための資産形成術

恒吉 雅顕

幻冬舎メディアコンサルティング

かつて開業医は、勤務医より圧倒的に収入が多く、リタイア後の悠々自適な生活を保障されていたことから、将来安泰な職業だと言われていました。しかし今、税制改革による富裕層への増税や、2025年問題へ向けた医療制度改正によ…

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