(※写真はイメージです/PIXTA)

富裕層向けの仕組債として一般的な「EB債(Exchangeable Bond:交換可能な債券)」で対象銘柄とされることも多い米国ハイテク株が、昨年2月をピークに大幅に調整しています。米国金利上昇、コロナ強気相場の巻き戻し、中国情勢、足元では、ロシアのウクライナ侵攻など、さまざまな要因で株価が調整し、先行き不透明感が増しています。こうしたなか、レオンテック証券株式会社の代表取締役である久保智氏が、EB債の特徴と銘柄選定の際のポイントを解説します。

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変動率(ボラティリティ)を別の銘柄と比較

変動率の高い銘柄はオプション料の計算上、利率が高くなるが、値動きが激しいためにその分、元本棄損の確率も上がる。換言すると、元本棄損の確率が上がるので、利率が高くなる。

 

購入を検討する銘柄は、利率を一定の範囲内に抑え、たとえば、一般的に個別株式より変動率の低い株式指数や個別株式のなかでも相対的に変動率が低い銘柄とも比較検討をしたほうがよい。

 

オプション料や利率を上げるため、安易に銘柄数を増やしていないか

対象銘柄数を増やせば増やすほど、オプション料が上がる。日本ではバスケット、複数銘柄参照、ワーストオブ、ワーストパフォーマンスなどといわれ、2〜3銘柄(資産)を参照するものも多い。

 

仮に3つの銘柄を選択した場合は、一般的にそのなかから最も不利な価格を参照するため、2銘柄が堅調に推移しても、1銘柄のパフォーマンスの悪化は当該仕組債のパフォーマンスの悪化に直結する。

 

オプション料や利率を上げるために、安易に銘柄数を増やしていないか。たとえば、3銘柄にする場合は、それぞれの銘柄1つを参照にした仕組債を3件購入する場合や、2銘柄に絞った場合とのリスクリターンの比較の検証をおこなうことも検討に値する。

 

期間、早期償還の有無・頻度、早期償還判定水準の検討

EB債には、期間1年程度で毎月早期償還の判定がある商品設計も多い。期間1年毎月判定の商品のみでは、相場が堅調に推移した場合は毎月早期償還がかかる。

 

早期償還がかかる際は、高い利率を享受した上で、元本が償還される。このようなケースでは、同様の商品に追加投資する傾向が高いといわれている。つまり、当初価格が相対的に高い水準での条件決定が続くこととなる。

 

特に、今回のように、富裕層に非常に人気があるボラティリティの高い米国成長株での調整が起きると、投資家の大幅な損失発生に直結してしまう。

 

つまり想定以上の下落によりノックイン事由が発生し、相場の回復がないと、大きな損失に繋がってしまう。投資タイミングの分散、早期償還判定の期間が相対的に長い商品や、そもそも早期償還条項のない商品との比較も有効だと考える。

 

早期償還判定水準は当初価格の100〜110%が主流で、判定毎に1〜5%程度、早期償還判定水準を低減させていくパターンもある。

 

早期償還した場合は、再投資リスクとして同じような水準で条件を設定できないこともあるので、早期償還をより重視するのか、また、早期償還判定水準の変更が、その他の条件にどのように影響するのかを検討することも有意義である。

 

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